第13話  見守ってくれてる

 -3年後-


 両親は離婚したがたまに4人で会う日もあった。

 ―しかし母は先月、帰らぬ人となった。

  理由は、相手の信号無視による、何台も巻き込まれた、大きな事故だったらしい。

 連絡が合った時は直ぐに響と病院へ向かった。

 でも、その時にはもう……


 お葬式には離婚した父も参列していた。

 響は号泣していた。

 俺は心に大きな穴が空かれた感じになった。



 〈家〉


「ぐす、ぐす。うぅぅぅ」

 部屋に響の泣き声が響く。

「響、何か作ろうか…」

「う、うん…ぐす」

「何食べたい?」

「……ぐす」

 返事はない。

 よし、あれを作ろう。




「響出来たぞ」

「ぐすっ。これって…」

 俺が作ったのは響が大好きな母のオムライスだ。

 前に母から料理を教えてもらったとき教えてくれた。

 「響が、泣いた時はこれを作ってやりなさい。まあ、あの子人前で泣かないから分からないけど」と、響が人前では泣かなくても悲しいことがあれば自分の部屋で泣いている事を知っていたのだ。


 パクっ

「ぐすっ。美味しい…ぐすっ。お母さんの…ぐすっ…味だ…」

 響が喜んでくれたなら嬉しい。

「響、少し良くなったか?」

「うん…おにい…悟は大丈夫なの?」

 昔の事を思い出したのかおにい…と半分言っている。

「うんうん。全然大丈夫じゃないよ。でもさ、俺は母さんが天国から俺らを見てる気がするんだ。私が死んでも元気にやっていきなさい。みたいな感じで」

「…あー。分かるなぁ。それ」

 母は死んでいても俺らを見守ってくれてる。

 そう思うだけで少しだけ気が楽になる。

 母さんこれからもよろしく。


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