ストーカー
「お前、もしかして俺のストーカー?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
彼女は明らかに動揺している。つーか聞くまでもなく人の家に入り込んでいる時点でストーカーか空き巣なんだよな。
「とりあえず警──」
「やめてください!」
俺の言葉を遮って彼女はそう言った。
「どうしよっかな~。ストーカーだしな~」
冗談っぽく言っているが本当に犯罪なのでどうするか判断に困る。どうしよう。わからん。
「ホントにやめてください!私捕まっちゃいますよ?いいんですか?」
「いや、別にいいけど」
「なんでですか!こんないたいけな少女を刑務所に入れたらひどいことになりますよ?絶対後悔するのでやめたほうがいいですよ!」
彼女はプンスカ怒っている。おかしいな。俺が被害者なのに。
「いやーでもなーここで通報しておかないと後々被害が拡大するかもしれないしなー
」
「通報しないでください!今通報したら私が警察に通報しますからね!?」
「......ん?どうゆうこと?」
「だから!今雅人くんが警察に通報したら私が警察に通報するってことです。.....ん?どうゆうことでしょう?」
やっと自分が意味不明なことを言っていることに気づいたようだ。
なんだか微笑ましくて思わずにやけてしまう
「何笑ってるんですか!」
「いや、ごめん。ちょっと面白くて」
「こんな美少女を笑うなんてサイッテーです!私以外にそんなことしたら嫌われちゃいますよ!まあ、それならそれで雅人くんを独り占めできるのでいいんですが。皆に嫌われて傷ついた雅人くんを励ます私......。これは私に惚れること間違いなしですね!」
なにに目をキラキラさせてんだこいつ。頭大丈夫か?脳外科行って来い。
「いや、俺そこまで単純じゃないよ。食べかけのアイスを「はいどーぞ」って言って笑顔であーんしてくれたあとに「口の周りにアイスついてるよ」って言って軽く微笑みながら舐めてくれるぐらいのことしないと俺は落ちないよ」
「.......いつもそんな妄想してるんですか?ちょっとキモイです。いくら私だと言っても限度がありますよ?」
玲奈がジト目でこちらを見る。
視線が痛い。とても冷たい視線だ。どこで覚えたのその鋭い目つき!お母さんそんな子に育てた覚えないんだからね!?
「うん。一旦その目やめようか。傷つくから。あと別にいつもこんな妄想してるわけじゃないから!たまたまだから!魔が差しただけ!」
「......」
どうして何も喋らないんだ!なにか喋ってくれ!頼む!300円あげるから!
「......わかりました。私が雅人くんのプリン食べたことを水に流してくれるなら許してあげましょう」
「分かった!プリンの件は許そう!」
「交渉成立、ですね」
「ああ」
俺たちは固く握手をした。玲奈の手は柔らかくて冷たくてなんかよかったとだけ言っておこう。
「じゃ、とりあえず今日のところは私帰りますね。」
「ああ、またな」
「さようならー」
玲奈は見えなくなるまで手を振っていた。俺もつられて手を振り返していた。
「ふう。疲れた。久々にこんなに話した気がする。一旦寝るか」
話しつかれたので仮眠しようと思ってソファに寝転んだときに気づいた。
「あれ?何も解決してなくね?」
ストーカーが可愛かったので飼うことにしました だるま @sanufute
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