【完結】暴虎馮河伝 〜続編あり〜
知己
序章
月明かりのない新月の夜、街道を走る一組の男女の姿があった。
男は二十代後半、筋骨隆々で頬に深い刀疵が走っており、腰に剣を帯びた姿から一目で武芸者と分かる。
女は二十代前半だろうか、肌は雪のように白く、衣装は地味ながら上等な生地で仕立てられており、いかにも深窓の令嬢といった風情である。
この一見不釣り合いな若い男女が馬車も使わず夜通し街道を行く理由は一つしかない。
「ねえ、少し休憩させて」
女が喘ぎながら言うのを待たず男は答える。
「駄目だ! 今頃屋敷では俺たちが駆け落ちしたのがバレているはずだ。夜の内に出来るだけ距離を稼がねえと」
「でも……」
女が言い掛けた刹那、周囲がパッと光に包まれた。男は瞬時に剣を抜き、周囲を警戒するが追手らしき姿は見えない。
「上よ!」
指差した女の身体を光の矢が貫いた─────。
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