ギルド戦争 クブン関 3
まず、ギルドからの速報を受けて、ギルバートと、ゼンネル、タイアスの3人は、それぞれの部屋で、腹を抱えて笑った。
一方、グラーダ三世だけは、ついいつものクセで激しく怒鳴る。
「何をやっとるんだ、あの小僧はっ!!!」
緊急クエストが発令されてから、僅か30分足らずで、敵の総大将と、腹心の2名を、カシム・ペンダートンが生け捕りにしたのだ。
カシムが捕らえられていたと言うから、ハイエルフが戦力を結集してバルタに攻め込もうと準備しているというのに、それさえ無駄にして、大功績を立てつつも、自らの力で危機から脱したのだ。
グラーダ三世でも、ハイエルフでも、これは読めない。
ゼンネルの推理も、全く寄せ付けない展開で、むしろバカバカしくすら思えるくらいだ。
事実、ゼンネルがカシムを語る時には、この一件から、「常人が彼について何かを予想する事なんてやめたが良いさ。何せ、予想を立てれば必ず外れるのだから、恥をかくだけさ」と、笑って話す様になった。
その事実を知った後、再度グラーダ三世はタイアスと会談を開く。この後のハイエルフの対応を確認したかった。
カシムが無事なのを知って、エルフの大森林に戻ってしまっては困る。
「無論、行動はこのままです。ただし、カシム殿救出・・・・・・と言うよりも、カシム殿の活躍を皆に伝えましょう。いよいよ意気が上がって張り切るでしょう」
タイアスは苦笑する。よほど、カシムの行動が痛快だったのだろう。詳細の報告を催促して来るぐらいだった。
生憎、詳細はまだ不明だったが、ヨールドとミーンの両名の身柄は、確実にクルセイユの町の冒険者ギルドにあると言う事だ。
この事実は、すぐに全世界に放送される。
『人間族初、モンスター指定された、愚か者どもに告げる。
実に滑稽きわまりないが、諸君らが主上と仰ぐヨールドは、側近のミーン共々、早々に捕縛された。
これで、貴様らの愚かな大量殺人の犯罪と、国家転覆を狙った戦ごっこはお終いだ!!
冒険者たちに貴様らが敵うものか!
無駄な抵抗はやめて降伏、投降せよ!!』
投降したとしても、虐殺行為に荷担したり、略奪、暴行をした者が無罪放免となるはずもない。
ギルドは一兵たりとも逃すつもりはなく、適切な裁きを、全てのテロ参加者に下すつもりである。
とは言え、裁くのは、恐らく国際査察団ケルベロスになるだろう。ギルドに裁判を行う権限は無いからである。
その後、詳細の報告と、ヨールドの供述により、この一件には、複数人の第二級神が関わっている事が判明する。
その中の1人は、伝言を司る神、「バロイ」である。
バロイは、先頃、禁忌の地にダンジョンを作り、魔物を出現させた事から、処分された第四級神「バルバロ」の父親である。
これにより、荷担した神への討伐許可も下りた。これにはグラーダ三世が許可を与えて、ギルドが冒険者に伝える。
ただし、相手が神なので、賞金は掛かっていない。可能ならば捕獲せよとしてある。
この知らせには、グラーダ三世は大満足であった。これを理由に、いよいよ天界に対して、ケンカを売る名目が出来たのである。
タイアスに、最強の戦士たちを派遣して貰うように依頼した。
その戦士たちは、現在バルタ攻撃の配置についているとの事だが、必要となれば、すぐグラーダ王城に転送できるように取りはからった。
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