魔都ガイウス 赤髪の烈虎 4
「探しましたよ!族長!」
「やっと、見つけた!!」
降りてきたのはトリ獣人だった。
1人は俺たちと、グラーダまで一緒だった、ケイトス。一番頭が良さそうな男だったな。
もう1人は見知っていないが、女のトリ獣人だった。
女のトリ獣人が獣化するのは珍しい事だ。俺はドキドキしながら、人型になるその女性を見る。
トリ獣人も、布面積が非常に少ない恰好をしている。
特に下半身だ。スカートをはいているが、まずこれが短い。
そして、トリ獣人の下着は、かなりきわどいのだ。
前側は普通の下着と同じだが、後ろはひもで、しかもY字になってウエストのひもにつながっている。
つまり、おしりは丸出しな状態なのだ。
これは、獣化する時に、他の獣人と違って、幅のある尾翼が伸びるからである。その邪魔にならないように、おしりの部分を広く開けておく必要があるのだ。
更に、スカートを長くすると、尾翼での飛行コントロールが難しくなるそうだ。
そして、これは都市伝説なのだが、獣化の時に、運悪く腰のひもに尾翼が引っかかってしまったら、下着がはぎ取れてしまうんだそうだ!
なんと破廉恥な!!
だから、女のトリ獣人は、滅多に獣化しないし、兵士になどなりたがらない。
この条件は男も同じだが、男の尻には興味が無いので無視する。
ただ、グラーダに送って貰った時に気付いたのだが、男のズボンも、後ろはかなり開いていて、獣化して飛ぶと、お尻を隠す布が持ち上がるので、後ろからは丸見え状態だった。ただし、獣化しているので、羽毛がビッシリ生えているから、
「この男の目がエロい!!」
女性トリ獣人は、俺を見るなりそう言う。
「なっ!?」
憤慨して見せたが、見透かされたようで動揺してしまった。
「おい!おめーら、一体どうしたんだ?!」
マイネーが不快気に唸る。だが、体が半分逃げ腰になっている。
「どうしたはこっちの台詞です!!大族長の仕事を放り出して、こっそり姿を消したと思ったら、竜の団に入っているとかって!!」
んん?どういうことだ?
「マイネー?大族長は引き継いだって言ってたよな?」
俺は確認するが、マイネーは歯切れが悪い。
「お、おお。引き継いだよ。ちゃんと任命したさ」
「あんなの任命じゃ無いです!勝手に押しつけられて逃げられたって、ノイン族長、カンカンですよ!!」
「ノイン」と聞いて、マイネーが明らかに顔色を青くする。この男をここまで動揺させる人物なのか?!
「どういうことだ?」
俺が尋ねる。すると、ケイトスがため息交じりに俺に説明する。
「族長会議の場で、大族長が一方的に母君に大族長を任命して、そのままスタコラ逃げて姿を消してしまったんです。しかも族長会議で爆弾発言までして言い逃げです。それは母君も怒ります」
ああ~。何か目に浮かぶようだ。それはやらかしちゃったな~。
「だから、エレッサであった時に、逃げ隠れするようだったのか」
ファーンがケタケタ笑う。
「うわ。可愛い!」
笑うファーンに、女のトリ獣人が笑顔になる。俺と大違いな反応だ。
「何だよ!ちゃんと任命式したぞ!!」
「その言葉、直接母君に伝えてくださいね。エレナ。族長を見張っていろ。俺はノイン様を呼んでくる」
そう言うや、ケイトスは飛び上がって行った。
「げ!お袋来てるのかよ?!」
マイネーが呻く。冷や汗を大量に掻いている。
「そりゃあ来てますよ!誰かさんが大族長を押しつけて逃げちゃったんですから!!」
「うわ!そうか、世界会議だ!オレ様とした事が、うかつだった!!」
マイネーは前に言った通り、自分の母親に押しつけたんだな。それで、いまビビってるのか。結構阿呆だな。
「逃げないでくださいよ!!」
「まあ、それは良いんだけど、こいつらどうする?」
地面に転がっている8人の男たちだ。
「そうだな。こうなったら逃げられないんだ。少しだけ場所を変えようか・・・・・・」
あきらめた様子で、マイネーが歩き出す。
「でも、何でオレ様を見つけられた?」
エレナと呼ばれたトリ獣人が肩をすくめる。
「聖竜の方に向かった情報は入っているから、次に来るのはここだと思って、ギルドで見張ってました!!」
怒ってる怒ってる。気の短い獣人にはきつい任務だ。
「私、一応族長の事は尊敬してましたが、それがなんでこんな男の下に付いたのかが納得いかない!!」
エレナが俺を睨み付ける。
「おいおい。言葉には気を付けろ!そいつはエレッサの英雄だ!」
マイネーがジロリと睨む。
「私はエレッサにはいませんでした!!」
エレナは全く悪びれない。
「まあまあ」
ちょっと険悪になったので、俺が仲裁せざるを得なくなる。何だ、このマヌケな絵面は?
「ンンンンン~マイネェェェェェーーーーッッッ!!!」
凄まじい勢いで、前方から何かがやってくる。
「うげ!もう来やがった!!」
マイネーが身構えた次の瞬間。
バキャアアァァァッッ!!!
飛んでも無い衝撃音が響いて、俺の隣にいたマイネーの姿がかき消える。
代わりに燃えるような赤い髪をした、筋骨隆々の背の高い女性が立っている。右の拳を前に伸ばした状態で、興奮した様子で「フーッ、フーッ」と荒い息を吐く。
マイネーは道の遥か20メートル後方に仰向けに倒れている。
「てめぇ!!よくも勝手して逃げやがったなぁ!!」
この人がマイネーの母親、ランネル・ノインか。これは強烈だ。俺はただただ唖然とするばかりだ。ファーンも、エレナも驚いた表情をしている。
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