千代田香恋 3

 最悪っ!

 このイライラする気持ちは、もちろんあの泥棒猫。

 バスタオル姿で現れた黒髪ロング。

 彼女を動物に表すなら黒猫。

 きっと、性格はそんな黒猫の色なんかよりも、もっと黒く深く、そして重い。

 初めて会った時から胸に抱いていた敵対心は本物で。

 予想通り、また私の前に現れた。

 そして今は、私をゾクゾクさせる。

 理由はわからない。

 明らかに前とは違う何かを感じた。

「ふふっ」

 また康太のように気持ち悪く笑ってしまう。

 兄のことは好きだけど、この笑い方はやめたいんだけどね。

 それにしても。

 この感覚の正体はわからない。

 この先の展開なんてわからないし、予想する気もないけど。

 あの女に似たのだろうか。

 私の感覚は当たる。

 今日私は緑ヶ丘梨乃を殺す。

 あの───まるで死神のような顔をした女を。

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