第22話  12月21日 火曜日 13時頃

 白雪さんの会社に宮迫さんが着いた。

「暮れの忙しい時季に、ごめんなさい」

「君のせいじゃない。午後になり、済まない」

廊下を歩きながら、白雪さんが切り出す。

「申し訳ございませんが、退職したいです」

「責任を感じているのなら、一緒に謝る。でも、その様子では違うね。疲れたんだろう。」

「はい。御社には申し訳ないですが。もう自分の意見は全部言ったので、すっきりしています。仕事を全部やり切れなかった悔しさはありますが、これ以上信頼できない人の会社にいるのも」

「やり残した仕事は、六角自動車に戻って存分にすれば良いよ」

宮迫さんの言葉に安心した白雪さんは、勇気を出して社長が待つ部屋に入った。

 話はすぐ付き、治療費は請求されなかった。

 最後の挨拶に戻ると、仲が良かった先輩が

「守ってあげられなくて、ごめんね」

と、泣いた。例の先輩は何も言わなかった。胸を触った張本人は、辞めさせられるだろうか?

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