第15話 7月8日 木曜日 夜

 帰り道、携帯が鳴った。今度は白雪さんだ。

「お疲れ様。今、大丈夫かしら?」

「はい、もう事務所出ました。相談にのると言っておきながら番号伝えず済みません」

「いいえ。この順が普通なのよ。教えてくれて有り難う。仕事はどう?」

「順調です。昨日のことは聞きましたか?」

「レッドさんでしょう?凄いわよね!嬉しい」

「白雪さんは…」

「仕事は楽しいしやりがいがある。でもね」

と、やっと話し始めた。

 宮迫さんからの電話で薄々感じてはいたのだが、やはり人間関係だった。庶務の仕事を教えてくれている先輩が、服装や仕草をいちいち気取っているやこびていると言って責めるので疲れるという。今日は偶然、わざわざ働きに来るなんて嫌味と言っているのを聞いてしまい、出自を悪く言われたようで傷付いたようだ。当然だろう。宮迫さんに言うべきとキッパリと言った。

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