楽しい、気持ちいい!それだけでOK!

 私はうつ病から双極性障害になったのだけれど、このうつ病時代は本当に辛かった。体は何も問題がないのに、気力がなくて動けない。不眠症も強かったので、夜も眠れないままぐったりしている。もう、生きた死骸。死ぬ気力すら失った死骸。


 こんな私が、無性に欲したのが『日光』だった。

 求めるのは、午前~15時までくらいの日差し。夕方の光だと逆に気が滅入る。『一日を無駄にした』感が増しちゃうし、空も太陽も妙に黄色く見えて不愉快なのだ。青空がしっかり青空と見えるタイムリミットが、15時辺りだった。

 ――今は、夕焼けギリギリまで空は青く見えている。当時の症状は、視覚にまで影響を与えていたんだと思う。


 外に出て、日光の暖かさを頭皮に浴びて。空を見上げて、雲を眺めて。

 そうすると脳の血流が良くなるのが分かり、脳内の切れていた何かが繋がるような感覚が起こり、体の芯から心地よさと楽しさが湧き上がってくるのだ。


 私はもともと、空を見るのが大好きだった。中学校時代の行き帰りなんて、友達がいないのを「むしろラッキー!」と思うくらい、ずーっと空を観察して喜んでいた。

 大人になっても『空を見る=最高の快感』だった。東京の空も案外奇麗で、ビルの合間から見える空と日差しが面白かったのを覚えている。




 最近彼も落ち着き、仕事も先が見えてきたので、散歩する余裕ができた。

 私が住んでいるのは、香川のちょっと田舎だ。かつての豪族が防御のために町を迷路に仕立てたそうで、今も周囲の道は入り組んでいる。気を抜くと道を逸脱して、用水路に落っこちそうである(汗


 だけど私は、必ず空を見て歩くのである。さすがに太陽は直視しないけど、代わりに背中や手のひらに思いっきり日差しを当てる。思いっきり体を逸らして空を見て、ワクワクしながら歩くのだ。

 顔を上に向ける姿勢って、ストレス発散にいいらしいですよ。情報ソースは……どっかのコラムニスト(すまぬ)。


 うつ病の人には、散歩がいいという話をよく聞く。

 だけど私は、無理に歩くのはどうかなあと思う。私の経験上でも、確かに外に出るのは大切だ。だけどもっと大事なのは、『心地よさを感じる事』じゃないだろうか。気持ちよけりゃ、歩く距離なんてどうでもいいのだ。そもそも、鬱状態の人間には普通に歩く体力なんてない。


 外に出るなら、楽しいと思える程度の負荷で。

 あとは寝てればいいと思うよ、脳を治すなら寝るのが一番。

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