山があるから「生きる」のさ。

 その昔、私は死ぬことしか考えていなかった。

 いや訂正。『生まれ変わる』事しか考えていなかった。


 もっと常識のある親の元に生まれていれば。

 もっと優しい祖父母の元に生まれていれば。


 病気のない体に生まれていれば。

 弟より後に生まれていれば。

 発達障害のない体に生まれていれば。


 そうすれば、私は両親に怒鳴られることなく、両親が望むように条件のいい結婚をして孫を生み、普通の人生を送れたはずだ。



 ――しかし。うつを抜けた私の思考は、180度変わてった。


 過去を嘆いてもなーんも楽しくない。

 楽しい事は、これから作らなくちゃ生まれない。


 楽しくない過去とは一切距離を置いた。親とも親戚とも連絡先を教えず、今は好き勝手にのびのび生きている。

 誰もがだらだらとするような仕事でも、試しに全力出したら絶対に楽しい。



 私は複数の病気をしており、その中には生死に関わるものもある。

 だけど、まったく悲観はしていない。

 ついでにいうと、生まれ変わりなんかも興味ない。

 今世を全力で生き抜く。もうそれだけが目標。


 登山家とっての山のように、私にとってそれが人生。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る