第49話『天孫降臨・2』
誤訳怪訳日本の神話・49
『天孫降臨・2』
アメノウズメやオモヒカネ達を従えたニニギノミコト(瓊瓊杵尊)は宮崎県の高千穂の峰に降り立ちます。
高千穂の峰は宮崎県と鹿児島県の境にある標高1574メートルの火山です。1913年に噴火して以来静もっていますが、古い言葉で言う活火山なので、中腹以上は岩だらけのハゲッチョロゲで、大小の岩や石がゴロゴロしています。
山頂付近に鳥居があって、天逆鉾(あまのさかほこ)が突き刺さっています。
古来、天孫降臨の聖地の山として有名なのですが、戦後は学校で教えないこともあって、70歳以下の多くの人は「なにそれ?」なのではと思います。
わたし自身、高千穂峰と天孫降臨の結びつきを知ったのはNHKの大河ドラマ『龍馬がゆく』だったと思います。
いえ、はっきり場所とエピソードを知ったのは、その後、学生時代に司馬遼太郎の原作を読んだ時でしょう。
龍馬は日本で初めて新婚旅行をやったことで有名ですね。
伏見の寺田屋に投宿していた龍馬は、伏見奉行所の取り方に襲撃されますが、ちょうど入浴中の寺田屋の娘のお龍が気が付いて、素っ裸で竜馬に知らせました。
この下りを、どう演出してテレビで見せるのか!?
原作が知れ渡っていましたので、雑誌や新聞でも前評判が立ち、テレビの前で刮目していたものでありました(^_^;)
お龍の役は浅丘ルリ子さんがやっておられましたね。
浅丘ルリ子さんは、後の『花神』でもシーボルトの娘の『おいね』を演じておられ、寅さんのマドンナ『リリー』もお演りになって、わたしの贔屓の女優さんであります(^_^;)。
龍馬の部屋に駆けこむシーンは憶えているのですが、その直前のシーンの記憶がありません。残念無念。
龍馬とお龍は、その後結婚して、西郷隆盛らの助けもあって、九州に避難しますが、ただの避難ではなくて新婚旅行にしてしまったところが、龍馬という人物の明るさであり面白さであると思います。
その時に、立ち寄ったのが高千穂の峰で、龍馬は、お龍に、楽しく神話の話をしています。
幕末ついでに、高杉晋作について。
高杉晋作は幕府に攘夷実行の命を出させ、長州藩をこぞって下関で海峡を通過する外国船を砲撃して、その報復を受けて負けてしまいます。
晋作は、藩の代表として四か国連合軍と終戦交渉にあたりました。
当然、四か国は膨大な賠償を求めてきますが、晋作は魔王のごとき形相で四か国代表と渡り合い、交渉に勝利します。
連合軍側は彦島の租借を要求しますが。
彦島は藩の持ち物ではなく神の持ち物であると主張して、延々、古事記の神代記を朗々と演説して煙に巻いてしまいます。
この演説は台本なしのアドリブです。
当時の武士は古事記の内容などは、ほとんど諳んじていたんですね。
武士だけではなく、寺子屋でも教えていましたので、百姓町人の多くも知っていたでしょう。
程度の差はありますが、日本人の七割以上は、わたしが書き散らす程度の神話の話は知っていたと思います。
お龍が、龍馬から「ここがニニギノミコトが降臨されたところじゃ(^▽^)」と説明されると、こう応えたでしょう。
「ああ、これが、あの有名な!」
わたしは、ジョンレノンが好きで、ジョンレノンが家族といっしょに軽井沢に逗留して、毎朝パンを買いに行ったお店を知っています(行ったことはありませんが(^_^;))。
もし、軽井沢に行って、人から「ここが、ジョンレノンがパンを買いに来たお店です」と紹介されたら「ああ、ここが、あの有名な!」と感動するでしょう。
同じことが、龍馬とお龍の間にあった……と言えば、想像がつくでしょうか。
実際は、ニニギノミコトはジョンレノン以上に、日本人にはお馴染みであったと思います。
天孫降臨にまつわるラブロマンスが二つあるのですが、それは次回にまわしたいと思います(^_^;)
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