第3話 因縁
暫く走りつづけていた和樹もバテ始めていた…。
もう既に二時間近く晴也を探している。
だが、やみくもに探すだけでは見つかるハズもない…。
和樹 「(止まる)はぁ…はぁ…。クソ…。ドコに居るんだ…。」
そう言いながら昨日、晴也と話した事を思い出していた…。
和樹 「アソコに…居るワケ…ないよなぁ。でも、もしかしたら…。」
と言って昨日、晴也と話をした丘へと向かって走り出す。
雨は依然止む気配を見せないどころか雨足は強くなる一方だった…。
一方、和樹が向かい始めた丘では…。
例の木に縛り付けられた晴也が三人の男女に囲まれていた。
相当殴られたようで晴也の体にはアチコチにアザが出来ていた。
晴也 「…。」
三人の中でボス格の=ミサ=と呼ばれている女が口を開いた。
ミサ 「イイ加減ラクになりたいでしょ?」
晴也 「…。」
ミサ 「イイ加減言わないとさぁ、もう指一本動かせないくらいにピン(アダ名)とキリ(アダ名)にボコボコにされちゃうわよ?」
ピン 「どうなんだよ?」
晴也 「ほ…。」
キリ 「?」
晴也 「本日も晴天ナリ…☆」
ピン 「バカじゃねーのか?ドシャ降りだろうが。」
ミサ 「イカレたか…。」
キリ 「オマエが最初から『YES』と言えばこんなメにあわなくて済むんだぞ?」
ミサ 「そう…このクスリを何かに混ぜて若菜和樹に飲ませてくれるだけでイイのよ。」
晴也 「ビタミン剤なら必要ない。」
ミサ 「まだそんなクチをきく余裕があるようね…。」
ピン 「大人しく言う事を聞けよ。」
晴也 「わっかんないなぁ…。何で和樹がそのヘンなクスリを飲む必要があるんだ?」
ミサ 「死にたくないなら余計な詮索はしない事よ。」
晴也 「ブッソウだねぇ…。」
ミサ 「アンタなら怪しまれずにヤツにコレを飲ませる事が出来る。と言うかアンタしか居ない…。」
晴也 「ソレを飲んだらどうなるんだ?」
ミサ 「だから余計な詮索は…。!!」
ミサ達の方へ走ってくる和樹に気付く。
ミサ 「ヤバイ…。」
ピン 「だからこの場所は止めておいた方が良かったんだよ。」
キリ 「しかしヤツがココに来るハズは…。」
和樹 「何やってんだオマエラァッ!!」
和樹が到着する。
ミサ 「…。」
和樹 「晴也っ!シッカリしろ!!」
晴也 「ゴメンねぇ…。学校…行きたかったんだけど…。」(気絶する)
和樹 「オマエラ…。何があったか知らないが絶対許さねぇぞ!!」
ミサ 「誰のせいでソイツがボコられたか分かって言ってるの?」
和樹 「なんだと?」
ピン 「オマエのせいだよ。言う事を聞いてオマエにクスリ飲ませてりゃ痛いメにあわずにすんだのによ。」
和樹 「クスリ…?」
キリ 「ひどい眠気に襲われて暫く眠った状態が続く…。そして…」
ミサ 「やめな!キリ。」
和樹 「どうしてソレが俺のせいになるんだよ!?」
ミサ 「私達はアンタに仕返ししなければならないのよ。」
和樹 「仕返し?」
ピン 「オマエの死んだ両親の事でなぁ。」
和樹 「!!」
ミサ 「アンタの両親のせいで私達の人生は狂った。」
和樹 「なら…。」
キリ 「なんだよ?」
和樹 「ならどうして最初から俺を狙わないんだ!!晴也は関係ないだろう!!」
ミサ 「思い知らせてやりたかったのよ。唯一の友達に裏切られる苦しみをね。」
ピン 「オマエの居所を突き止め、そして交友関係を調べた。そしたらマトモにハナシをする友人がソイツ一人だったとはな…。」
ミサ 「つくづく寂しいヤツね。親が親なら子も子だわ。」
和樹 「オマエラに…オレのオヤの何が分かるんだよ…。」
ミサ 「少なくともアナタよりは知ってるわよ?」
和樹 「しかし今はそんな事はどうでもイイ。オマエラ…晴也に謝れ。」
三人 「はぁ?」
和樹 「聞こえなかったか?謝れって言ってんだよ!!」
ミサ 「バカじゃないの?ならアンタは私達に土下座でもしてくれるの?」
和樹 「する理由がない。」
ピン 「さっき説明しただろうが!」
和樹 「証拠がない。俺は両親を信じてる。しかし、今はオマエラが関係ない晴也を痛めつけた。その証拠は歴然としている。」
ミサ 「もうイイわ。コイツもボコボコにしましょ。」
和樹 「やれるモンならやって…!!」
いつの間にか和樹の後ろにピンとキリがまわりこんで和樹の腕をガッチリと固定している。
和樹 「い…いつの間に…。」
ミサ 「ビックリしたでしょ?そしてビクともしないでしょ?」
ピン 「こんなガキのチカラなんて、たかが知れてるからな。」
和樹 「テメェラもガキだろ…クソガキが。」
キリ 「そんな汚い言葉を使ってはいけませんってオヤに習わなかったか?」(と言って和樹の腕を締め上げる)
和樹 「ぐあああぁぁぁぁああぁぁっ!!」
ピン 「ムリムリ。コイツのオヤはクズだからさ。」(同じく締め上げる)
和樹 「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ミサ 「丁度イイ具合にクチを開けて叫んでくれるわ。一人でクスリも飲めないコには仕方ないからワタシが飲ませてあげる。」(そう言って和樹に近寄る)
杏子 「ハイそこまで。」
三人 「!!!」
ミサ 「誰っ!?」(キョロキョロするが姿はない)
ピン 「もう一人居たのか?」
キリ 「イヤ…そんなハズは…。」
杏子 (木の枝からフワリと飛び降りる)
ミサ 「イツからソコに…。」
杏子 「ついさっき。若菜君が来た少し後くらいかな。」
ピン 「何冷静に答えてんだよ!!」
杏子 「だって聞くから。」
ミサ 「三人もクチ封じするとなると少し厄介ね…。」
ピン 「だから別の場所にしときゃ良かったんだよ。」
杏子 「去りなさい。」
ピン 「はぁ?」
杏子 「今ならまだ許してあげる。そこの男の子(晴也)には悪いけど、生きてるしね。」
ミサ 「なに言ってんのコイツ?」
杏子 「早く行かないと…二度と歩けないようにするわよ?」
三人は、杏子の異様な雰囲気の圧倒される。
そしてジリジリと無意識のうちに後ずさりをしている。
杏子 「体は正直ね。」
ミサ 「今度こそ必ず…。」
そう言って三人は立ち去った…。
杏子 「さて。どうしよっかなぁ…。」
和樹も気絶している。
杏子 「ほっとくか♪」
そして杏子も立ち去る。
そして暫く時間が経った…。
和樹 「うーん…。」
晴也 「やっと起きた…。」
和樹 「晴也っ!?」
晴也 「よ♪カズちゃん。」
和樹 「ヘンなふうに呼ぶな!それより大丈夫かっ!?」(慌てて晴也が縛られている紐を解く)
晴也 「なんとかね。」
和樹 「ったく…。なんであんなヤツラに…。俺のせいで晴也が…。」
晴也 「気にしない気にしない♪」
和樹 「悪い…。」
晴也 「ホラホラ。そんなカオしてちゃ晴天にはならないよ?」
和樹 「あぁ…。本日も晴天ナリ。だったな。」
晴也 「そゆこと~。」
しかし和樹の心には複雑な思いが残った…。
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