2月2日

 自分は酒がやめられない性分である。こればっかりはもはやどうしようもないのだと思う。


 金はなかなか、あるわけではないのだが、スーパーでコンビニでその他諸々で酒を見るたびに立ち止まって、面白そうなものはないか探してしまうのである。そうして立ち止まった時には既に財布のひもは解かれている。


 こういう風にして溜まっていった酒が部屋にはあふれている。カシス、ピーチ、チョコレート、コーヒーリキュール。ミドリ、ボルスブルー、アマレット、ベルモット、ジンウォッカラムウィスキー。挙げればきりがないほどに。


 キッチンには空いたスト缶が4×4で16本積まれている。最初4、5本積み上げた時に、これを捨てずにそのまま積み上げてみようと思ったのがきっかけである。現代芸術的な意義が見いだせはしないかと酔った頭で想像してみたりもした。


 実際のところその中身は空虚であった。どう見ても、空き缶は空き缶でしかなかった。どれだけ積み上げても、一向に体積は増えた気分にならなかった。無駄な試みであった。

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