1月22日

 犬派・猫派論争というものがある。


 論争というほどのものではないかもしれないが、初対面の人と会話に困ったとき、しばしば利用される話題の一つとして、これを挙げることはできるだろう。


 結論から言えば、猫一択である。こればっかりは譲れない。


 背理的に考えよう。なぜ犬ではだめなのか。


 犬はだめなのだ。人間の忠実な僕となる犬では、だめなのだ。俺が求めているのはそんなものではない。漠然としているが、これが答えでいいと感じる。


 猫は俺に癒しをくれる。犬もくれるじゃあないかと言うかもしれないが、癒しの質が猫と犬では異なるのだ。

 猫は人間の本質を見抜いている。人間は怠惰で、中途半端で自分勝手だ。猫もそうだ。だが、俺にはそれが、猫なりの人間に対する侮辱の表現方法なのだと思う。

 猫自身が、怠惰で、中途半端で自分勝手にふるまうことで、それを見る人間どもを啓発しているのだ。「俺はお前らと同じだ。だが、お前らに、お前らと俺が同じだとわかるか?」と、猫は問いを投げかけているのだ。


 その問いは、俺にとっては癒しだ。その質問は、心地いい。自分の身の程を知れる。俺は所詮、その程度の、ただの人間に過ぎないのである。

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