1月23日

 最近、小説を書く手が止まっている。


 中学生を主人公にした物語を書いていて、途中までは何も問題なかった。一日で一万字くらい書ける日もあった。

 しかしここ数日は、全く駄目だ。試行錯誤を重ねても、いい表現が見当たらない。しっくりこない。


 その原因はだいたいわかっている。経験の有無だ。


 俺がいま詰まっているのは、主人公の中学生がいじめを受けているところだ。金を強請られたり、殴られたり、もしくはより陰湿であったりするいじめだ。


 俺はその心情を描きたい。逃げ道のない状況を描写したい。でも、俺にはいじめを受けた経験も、した経験もない。後者は、もしかしたら自覚がないだけかもしれないが。


 俺は自分の経験の内でしか所詮書けない。自分の経験をもとに、それを多少発展させることは可能だが、完全にオリジナルで、一から作ることはできない。

 しかも題材が、「いじめ」だ。丁寧に扱うべきなのだ。半端なことはかけないのだ。


 もしかしたらいじめなんて扱うべきではないかもしれない。五万字ほど書き進めた小説だが、破り捨ててしまおうかとも思う。新人賞に応募しようと思っていたが、こればかりは自分よりも他人、読者を察するべきだと感じる。


 仮にこれを破り捨てたら、今回の新人賞に間に合うように別の作品を作ることは無理だと思う。

 俺は今、葛藤の中にいる。

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