1月18日

 酒は人類が生んだ最も素晴らしい発明の一つだ。マルティン・ルターはこう言っている。


 酒と女と歌を愛さぬ者は一生阿呆で暮らすのだ。


 それを受けてなのか、それとも偶然なのかは知らないが、アメリカの有名なコラムニストは、こう語った。


 制御しがたいものを順に挙げると、酒と女と歌だ。


 まあ普通に考えて、このコラムニストはルターの文言を知っていたに違いない。ここまで一致しているならば、そう考えても不自然ではなかろう。

 極め付きに、旧約聖書にはこう書いてある。


 酒は度を越さなければ、人にとってほとんど生命そのものに等しい。


 そうだ。俺もそう思う。酒はいのちだ。度を越さなければ。

 俺は酒が好きだ。おおよそアルコールが入っていれば、焼酎以外ならなんでも好んで飲む。日本酒も、ワインも、カクテルも好きだ。


 しかし、度は越さない。俺は品のない酒の飲み方はしないと決めている。

 ここでいう”品のない”の定義を書いておこう。まず、吐かないこと。これは前提だ。吐くレベルまでいくということはそれはもう、酒を「楽しむ」段階ではなくなっている。その段階になると、頭は痛いし胃が気持ち悪いし、一歩も動きたくなくなるし、今すぐにでも家に帰りたいと思うようになる。酒は楽しむものだ。楽しめなくなるような使い方をするのは間違っている。

 次に、罰ゲームで酒を飲んだり飲ませたりすること。これは俺が一番嫌いな酒の使い方だ。理由はさっきと同じだ。

 その俺の心持に反して、若者はすぐそのような真似をしたがる。今も昔も相変わらずだ。若者はこぞって大量の酒を飲み、道に吐き散らかし、いい歳したおっさんはそれを見て、あぁ、俺にもこんな時代があったものだ、などと感慨にふける。この社会全体に蔓延している悪癖が淘汰される日はくるのだろうか。

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