第13話 修ちゃん

 アパートの一階下に、康子ちゃんと修ちゃんという兄弟が住んでいた。修ちゃんは私より年下で、無類の生き物好きだった。

 

 ある時、アパートのあちこちの部屋に「はつかねずみ」が出没するようになった。晃子の家にも出て、後からピアノの中に巣があるのを発見したことがある。修ちゃんが飼っていたのが逃げ出した、とのもっぱらのうわさだった。

 

 その後、修ちゃんは、夜店で30センチもあるトカゲを買った、と見せてくれた。千円で買った、と言っていた。当時の千円は相当なお金だった。

 

 何を餌にしていたのか、よく覚えていないけれど、あまり思い出したくないものだったことは確かだ。

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