第12話 動物屋
母は亀戸の生まれなので、晃子の七歳の七五三には着物を着せて、亀戸天神に連れていかれた。着物はきつく、くたびれた晃子は不機嫌だった。
駅までの帰り道、動物屋があった。生き物好きな父が「見ていこうよ」と言い、一緒にいた家族もそうしたがっているというのがわかっているのに、晃子は「もう帰る」と言い皆を無視して歩き続けた。皆は黙って晃子について行った。
その夜、布団に入ったら、急に悲しくなってきた。しくしく泣いていたら、父が「晃子ちゃん、泣いてるの」と声をかけてきた。すると余計に悲しくなって、しゃくりあげて泣き、「動物屋さん見たかった。」と言った。父は晃子の頭をやさしく撫でながら、また今度行こう、と言ってくれた。
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