第4章〜新たなる戦記

第44話 闇の胎動


「い・き・た・い」


 ピシャ〜!ゴロゴロ〜!

その日は大荒れで、雨も雷もひどく、

空が泣いている! そんな天気であった。


 緑色の麦わら帽子を深く被り、杖を持った青年は静かに息を引き取った。


 赤銅色の異形の者はカレの命を紡ぐと乱暴に捨て去った。


「さぁ歴史を変えようか...」


 赤銅色の異形の者に続く者達は、新たな生誕を待ち望んでいた。


 ある者は泣いて喜び、ある者は歓声をあげる。そこには狂気の集団が佇んでいた。


 その日、歴史は動いた。

異形の者達は、次々と街に現れては、

住民を惨殺し続けたのだ。


「まさか...」


 しかし、気づいた時には時既に遅く、

その国の奥深くまで侵入していた。


「伝令兵!! 隣国に伝えろ...」


 ボトり!! 指示を出そうとした将官は容易く首を刎ねられた。


 そう!! 既に時は遅すぎたのだ...


 人々は弱肉強食の掟に従い、奪われてしまう。故郷も肉親も国さえも...


 道端に置き去りにされた人形は、人や異形の者達に踏まれては、中から綿を撒き散らしていく...


 赤銅色の異形の者は、首魁なのであろう。

脇目もふらず、王城へと乗り込む。


「おのれ...ここから一歩も通すな〜」


 城備兵達がどんどん出て来て城への侵入を拒むが、赤銅色の異形の者は嗤いながら、まるでダンスを踊るかの如く、舞いながら爪で首を刎ねていく。


「ーー人間が一番輝くのは、噴水を撒き散らす正にこの時だな!」


 赤銅色の異形の者は、

異様な笑みを浮かべながら、

素早い動きで兵を殺しては、着実に王の間へと突き進んでいく...





 そしてしばらくすると、城には雷の轟く音しかしなくなった。


 その国に古くから加護を与えていた神は、一言呟きながら天界へと帰っていく。


「ーーーーーーすまない」


 その言葉にはどれだけの思いが詰まっていただろうか? 国が起こる時から付き添い、栄枯盛衰の全てを見てきたのだ...


 一筋の涙を垂らし、神は振り返らず天界へ帰っていく。


 赤銅色の異形の者は、天に向けて拳を掲げて誓う


「ーー我の時代の到来である」

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