第45話 ユウト手紙が届く
ある日、温野菜王から、手紙が届いた。
「魔王再誕したり。被害報告あり。
至急魔法王国にて会議を開きたい...」
新たな魔王は空気を読んで欲しいと言いたい...
まだプリーモは若く、
子供も出来ていない。
せめて後七年くらいは待って欲しかったと思う。
また、かつての激闘の日々を思い出し、
暗雲たる気持ちになった。
ネガティブになってはいけない。
違う話題も考えよう。
プリーモは、丁度今、魔法王国の学園にいる。
妻と三人で住む邸宅は、魔法王様からのご好意である。
実にいいご身分である。
妻の実家から支援して貰いながらの学園通いである。その年でリア充とは、父様は嫉妬しちゃいます!!
そんな幸せそうなプリーモに...話すべきか? いや話さないと駄目だな...
ユウトは目を閉じて、これからの事を、考える。勇者パーティの設立、魔物の討伐作戦、魔王軍侵攻の足止めなどなど...
ユウトには過去の実績がある。
だからこそ、何が今後起こり、どう対処するべきかは対策はうてる。
しかし、一番の難点は勇者が若すぎる事である。致死率の高い本作戦に我が子が...
いや、今考えるべきではない。
まずは、会議で詳細な報告を聞くのが先である。新魔王の狙いもわからないし...
すると、何かを心配した、マキが現れる。
「ーーユウト...」
「ーーああ...遂に現れたらしい...」
マキは、顔が真っ青になった。
何とか、マキを落ち着かせる。
「いずれこの日が来る事は分かっていた筈だ。それが早いか遅いかの違いでしかない。
何も今すぐ魔王討伐作戦が始まる訳ではない。まだ、メンバー自体揃ってない上に、
レベル上げも必要である。二年は時間がかかる...」
「私も...」
しかし、ユウトはそれには首を振る。
「セコーンドを誰が育てるんだ? 俺は、プリーモを護る。だから、セコーンドをマキが立派に育ててくれ」
ユウトはマキと泣きながら抱きしめ合う。
ただ幸せに家族で過ごしたかった。
それだけなのに...
宿命がユウト一家に試練を与えようとしていた。
「私は王である。王の責務は、民の安寧。
ならば、それを脅かす存在には、立ち向かわねばならない。しかも、それが出来るのが私と我が子しかいないのであれば尚更な...」
庭には綺麗な薔薇が沢山咲いていた。
時たま吹く風が、綺麗な香りを運んでくれる。
城下を見渡せば、民達に活気があり、
笑顔で溢れている。吟遊詩人達は、思い思いの演奏をしている。
此処を戦場にする訳にはいかない。
ここまで発展するのに、どれだけの人達の苦労があっただろうか...
私が国を護るのだという強い決意を持って、ユウトは馬車に乗る。
「天と地と神の名の元にアーメン
願わくば、この地に安らぎと平和があらんことを...」
「私を呼んだかね?」
いや確かに神に祈ったが、ナルシス神様はなんか違うかなぁ...
「ーーユウト王! 美しい方が勝つ!!」
「いやどんなアドバイスだよ!! 美貌コンテストじゃないんですぞ?」
ユウトは怪訝な表情になる。
「見てみろ!! この超絶で絶妙な美貌の持ち主ナルシス神が、我が国に加護を与えているんだぞ!! 心配するな!」
「まさか...何か秘策でも?」
ナルシス神様は、笑みを浮かべた後、間を置き、伝えた。
「ーーそんなものはない。ではまたな」
いやないんかい!!
ナルシス神様は、突然現れ、突然消えた。
何やかんやナルシス神様は励ましてくれにきたらしい。
少しは勇気が出たのか?
やはりあの神様は謎である。
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