第三章 ユウト王になる

第29話 第三章プロローグ


 私が何も考えずに、大陸を旅して来たと思っていたのなら見当違いであーーる!!

 

 全ては拳闘王貴様を! 祖国を! 俺を追放した全てを許す筈がないだろう。


 拳闘王国より南側の力のある国々にパイプ作りも兼ねて回っていたのだ。

(※世界地図は第九話参照)


 国同士の力関係というものは、何で決まるだろうか? お金、軍事力、技術力、生産力などなど色々思い浮かぶであろう。


 ・金持ち大国ーーこれは、魔法王国、商業王国、聖王国の順だ。

・軍事大国ーーこちらは、魔法王国、剣豪王国、拳闘王国、サマーソルト王国の順である。

・技術大国ーー更にこちらは、魔法王国、商業王国、料理王国の順である。

生産大国ーーこっちは、温野菜王国、遊牧王国、料理王国の順である。


 つまり総合的に見ると、魔王討伐後の今、大陸の真ん中の魔法王国が一番強い力を持っている事になる。


 魔法王は略すと、(魔王)になるからして、本物の魔王が大嫌いである。


「魔王は二人はいらーーん!!」


 魔法王の口癖だが、

ユウトは魔法王とは、長い付き合いである。

一番魔王討伐に期待しており、自然公園視察にも何度か来たことがある。かなりフランクな方で、妾は沢山いる。ぶっちゃけ、合コンに一緒に行った事だってある。


 魔王討伐達成時には、

「何かあったらいつでも力になるよ!」

とまで言ってくれている。マブダチである。

つまり、最大の力のある国と南の各国が、

ユウトの味方だとは、拳闘国は知らないのだ。


 話を戻すと今後、人同士の戦いになるにせよ、ならないにせよ、各国の首脳は魔法王国に警戒感を持っていた。


 特に顕著なのは、魔法王国に隣接しており、さほど友好関係が築けていない国々である。いち早く、素早い動きを見せた二国を見ていこう。


 拳闘王国ーーそれは拳闘士を輩出する国家であり、拳での戦闘を得意とする。ユウトの故郷でもある。


 サマーソルト王国ーーこちらはサマーソルト士を輩出する国であり、蹴り技での戦闘を得意とする国である。ユウトが女性達から袋叩きにあった国だ。


 両国も互いに仲が悪く、軍事力や領土争いが絶えないのである。

しかし共通しているのは、領土拡大の促進の速さであろう。


 南にはちゃんとした国家があるが、北は旧魔王領である為に、侵略しても反撃はない。

両国は互いに扇形に領土を増やし、村や町を新たに作って行った。


 旧魔王領は大陸の北端である為に、両国は一度北端を目指した後は、南東方面へと侵略を開始した。


 もちろん、ただ征服するだけでは駄目だ。

新たな町の建設や交通網の整備など、インフラには最低限時間がかかる。



 それに北の寒い大地に畑を作り、自給自足の生活ができるようにしなければならないのは大変であるーー元もと作物を作る大地として使われていない土地を新たに開墾しなければならない上に、年の半分は雪に覆われてしまうからだ。


 初期投資にはそれだけお金がかかるが、後々の事を考えると、税金も上がり、人口増加も見込める為に、両国は躍起になって行った。せめて領土の大きさだけは、魔法王国に勝たなくてはならないからだ。


 時には、欲しい土地を巡って争いが起きる事もある。やはり、川沿いは人気が出る。

農業をやるにしても、利便性は高い。


 拳闘王国、サマーソルト王国は、早い者勝ちだと言わんばかりに、旧魔王領を併呑していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る