第21話 天使と悪魔
ユウトは、兎に角ロックスターのレベル上げに全力を尽くした。
どんな職業でもレベルがカンストすると、
かなり楽に魔物を倒せてしまうものだ。
三段ジョブチェンジを駆使して、
一日に五組が限界であった昔とは違い、
一日に二十組程の魔物を、
花を摘み取るが如く、
サクサク一撃で倒せてしまう。
獲物が大量だから、
農家の皆様も喜ぶ事であろう。
もう恵んで頂いていた昔とは違い、
物々交換をしていた。
ユウトは来る日も来る日も、
魔物を倒しまくり、経験値稼ぎをした。
それは暗殺者も死奏家も賢者でさえもLV100になっても終わらなかった。
更には、死奏家の代わりにレベル上げをした忍者のレベルが80になっても、終わりはしない...
自然公園に来て、四年の月日が経った。
終盤のユウトの職業はメイン職に暗殺者とサブ職ロックスターのみで戦っていた。
何故なら、サブ職が少ない方が経験値の行き渡りが良いのだ。
今現在ロックスターのレベルは100に達した。
えっ? 何でレベルをカンストさせたかって? それはロックスターのレベルが高ければ高い程、
強いメンバーが現れるからである。
「悪くないだろう!
いざ世界よ! 見届けろ!
我がバンドメンバー達を!」
ユウトはロックスターに、
ジョブチェンジする。
金髪のチャラ男は、
銀髪のロッカーへと見た目が変わる。
そしてギターを演奏して、
特殊技を言い放った。
「顕現召喚 ドラム」
「顕現召喚 ベース」
すると、真っ黒な出立ちで、金色の瞳のうさぎの悪魔と真っ白な出立ちで、銀色の瞳のうさぎの天使が現れた。
黒い方をジジ、白い方はバニラと名付ける事にする。
「冥界より呼んで頂けありがとうございます。マスターユウト! なんなりとご命令を」
「天界よりお呼び下さり感謝致します。マスターユウト! なんなりとご命令を」
ジジとバニラは貴賓に溢れるお辞儀をして来た。しかしウサギの天使と悪魔とはなかなか可愛いらしい。モフモフしたい。
想像してみて欲しい。
羽の生えた天使うさぎと羽の生えた悪魔うさぎがいるバンドなど、
人気が出ないはずがない。
女性ファンが黄色い声援を送ってくれる事間違い無しである。
しかもうさぎを餌に女性を口説けるな!
うちのうさぎをモフモフして良いのは、
俺に抱かれる覚悟のある女性だけである。
「我が命ずる!ジジ其方はドラムを鳴らせ。バニラ其方はベースを奏でるのだ」
『イエス マイ ロード』
これが伝説のバンド
『コニーリョ』のはじまりであった。
コニーリョ一行は一路魔法王国を目指す。
なぜなら、うさぎ用の小さなドラムとベースをオーダーメイドして貰う必要があるからだ。
楽器屋の店主よ! 更なる無茶を与えよう。
これは面白い仕事が出来て、仕事の幅が広がる事間違いなしだよ。作れないとかは言わせない。
もしうちのうさぎのロゴ付き楽器を作りたいと言って来たら、
もちろん快く許そうと思う。
今まで散々無茶を言っては、
お世話になって来たからな。
当然感謝している。
Live観に来てくれよな!
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