第9話 世界地図と転職おばば様


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 本来ユウトはサマーソルト王国から遊牧民族王国に入り、温野菜王国にに入りたかったが、遊牧王国から田舎の温野菜王国へは馬車の人気がないのに加えて、


 山を越えなければならなく、獣道しかない。だから仕方なく魔法王国を経由して温野菜王国に入る事にした。魔法王国は交通の便が桁違いである。


 S級冒険者となれば関所の見張りもザルである。

しかし、ユウト自身に懸賞金をかけるなんて祖国以外にない。賞金首となった今、要警戒が必要だ。


「しかしどんだけ憎まれてんだよ」


 ユウトは呆れ顔だーーマジで祖国潰してやりたくなった。


 落ち着け! そんな事をしても一文の特にもならない

こんな時は修行である。馬車内ではできる限り筋トレに打ち込む。万が一の為に得物も近くに置いておく。




 こっそり魔法王国首都から郊外の街まで足を伸ばす事にした。

転職おばば様に会う為である。

ユウトはメイン職以外にもサブ職として幾つか設定できる。


 今回はそれを見直したくての訪問であるーーもちろんアドバイスも聞きたい。

勇者パーティの時からずっとお世話になりっぱなしである。土産も用意した。




 転職おばば様の家につきノックをする。


「ーーお邪魔します」


 しかし反応はなく、ドアを開ける。

すると転職おばば様は病に倒れていた。

マジかよ! まだまだお世話になりたいのに


「あ〜ユウトかい! いらっしゃい

最期に見る顔が君とはなかなか神様も粋な計らいだね。ゴホゴホ! 私は自分の寿命は自分でわかるつもりだよ! 私の人生で一番転職をさせたのはユウト君だよ! まだまだ転職必要なんだろ? ユウト君に転職用の水晶を上げるよ。これで好きな時に転職できるはずさ。頑張りなよ...」


 そう言い残すと転職おばば様は息を引き取った。


「おばば様〜」


 ユウトは泣きながらおばば様を揺すった。

しかしおばば様は再び目を開ける事は無かった。


 右も左もわからないユウトにずっとアドバイスをしてくれていた。ユウトも勇者パーティの一員かというくらい転職の為に呼んでいた。自分の祖母にも近い存在のおばば様の死にユウトは思わず膝を抱えて夕方近くまで泣き続けるーー時間が経って少し気持ちが落ち着いた。


 思えばおばば様に肉親はいなかった。

だからおばば様の遺体はユウトが綺麗に火葬した。


「私もおばば様の様に立派に生きてみます」


 火葬を終えたユウトは馬車に乗り込み、旅路を急いだ。


 自分のできる事を一歩ずつやっていこう。

おばば様見ていてください!

立派に生きぬいてみせます。

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