第6話 宿屋の主人お前もか!!



 宿屋のベッドで目が覚めるユウト


「またここか」


 二週間療養後、変な依頼を受けたせいで再び二週間療養である。

再び怪我して現れた時の、

宿屋の主人の生温かい目は忘れない。


 夢の中では確かに、四十人以上のハーレムを築き、幸せな生活を満喫してたはずである。


 どちらが夢だ?まさか今の自分の方が夢なのではないだろうか?

なるほどなるほど! ーーすぐに寝て戻りましょ!


 ユウトは再び眠るが次は今度は四十人のハーレムにナイフで追いかけ回されるホラーな夢だった。


 汗びっしょりになり再び起きるユウト


「ーーあれならこちらの方が幾分かましだな」


 夢くらい楽しい思いをさせて欲しいものである。


 全身を見るとアザだらけで水膨れしている。

三百人と組み手をやらすとか正気の沙汰じゃねぇ!

金に目が眩み、受ける方も受ける方だが...

すると、宿屋の主人が朝飯を持って現れる。


「お目覚めか? また何をやらかしたのかは知らないがまた酷い有様だな!

うちは宿屋で病院じゃないんだぞ!

打身に効く軟膏を買って来てやったから、

塗って大人しくして置けよ」


 宿屋の主人はそれだけ言うと部屋を出て行く。

ユウトは涙を流したーー宿屋の主人の優しさに涙をしたのではないく、宿屋の主人貴方も買収されたという事だ。


 ユウトは昔に暗殺者の職業レベルを30まで上げて、

上位派生職の死奏家のレベルを高くまで上げていた


 死奏家の職業は吟遊詩人レベル30以上に暗殺者レベル30以上、糸操術士レベル30以上、薬術士レベル30以上でなる事ができるという超難易度のレア職だ。


 死奏家に毒物の類はすぐにわかってしまう

ーー宿屋の主人の持ち込んだ朝飯は毒入りだったのである。


 ユウトの感知では暗殺者数名に、ドア前には宿屋の主人も待ち構えていた。

ユウトはゆっくりハープを取り出して、

HP徐々に回復の曲とステータスUPの曲を自身にかける。


 懐にはナイフを数本忍ばせて、

ゆっくりとベッドを立つ。

糸を操りドアと椅子にはそっと罠を仕掛けた。


 ユウトは朝飯に手を伸ばし食べたふりをする。

これは有毒パピシリウスの粉か?

ならば苦しみ方はこうしなくてはならないか


「うっ! 苦しい喉が〜」


 ユウトは机の下に倒れこむ

その悲鳴を皮切りに窓から三人、ドアから宿屋の主人ともう一人雪崩混んでくる。


 ドアから入って来た宿屋の主人ともう一人は、ドアを開けた瞬間に槍で一突きになる罠を受けて痙攣している。


 ユウトは残り三人に向けてナイフを投げる。暗殺者もレベルが高いのか弾き返す。


 ユウトはハープの仕込み刀をゆっくり抜く。

三対一だが、暗殺者は容易に動かない。

間合いを計っていた。


 ーージリ!歩く度に硝子の破片の音が鳴り響く。

緊迫した雰囲気の中、

暗殺者は三方から毒付きのナイフを投げて来た。


 ユウトはブレイクダンスで床を回り毒付きナイフを回収と同時に蹴り返すーーこれはサマーソルトの技である。

暗殺者はカウンターの毒付きナイフを喰らわないまでも体制が崩れた。


 ユウトは一番近い暗殺者の右足を斬り飛ばし、側にあった椅子を残り二人の真ん中に叩きつけた。

ユウトはすぐ様テーブルを背に隠れる。


 椅子からは数十本のナイフが全方位発射されて、

二人の暗殺者は蜂の巣になる。


 ユウトはテーブルを戻しながら起き上がると、

ゆっくり五人に死を与えて行く。

人を殺すなら殺される覚悟を持つべきである。

更には暗殺者だーー依頼人の素性など吐かない。


 暗殺者と宿屋の主人の金を掻っ払ってユウトは宿屋を後にする。


 それを見ている目がいくつかあった。

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