第1話 魔王討伐
勇者アダム、聖女アイリス、聖騎士ユリウス、吟遊詩人ユウト、魔法士ファーガソンこれが勇者パーティである。
五人は熾烈な旅を経て最終魔王城までやってきた。
思えば長い旅だった。実に五年はかかっている。
吟遊詩人ユウトは当初拳闘国コブシーからやってきた。
国名にあるように屈強な拳闘士を輩出する国なだけあり、
ユウトは坊主で拳闘士として参加した。
しかし前衛は聖騎士に勇者がいて充分足りていた。
ユウトは何とか魔王を倒す為、パーティを強くする為に吟遊詩人になったのだ。
ーーバフやデバフ関連を使えるメンバーが居なかったからだ。
ユウトは髪を伸ばして仕込み刀入りハープを装備して前衛から中衛に位置を変えた。
「やっと本当の自分に出逢えた気がするよ。僕の演奏するメロディで皆を助ける」
坊主に髭だったユウトは金髪サラサラのチャラ男に変貌した。
行く先々の街でハープを片手に広場で演奏しては女の子をナンパしていたのだ。
「ユウトよ俺達は勇者パーティだ。魔王にいつ殺されるかわからない。家庭を作るのは魔王を倒してからやるべきだよ」
そんな事を言う真面目な勇者アダムにユウトは決まってこう言う
「いつ死ぬかわからないからさ!
今この瞬間も生きてる内に悔いが残らないように楽しむのさ」
ユウトはポジティブでメンバー内のムードメーカーだ。
悲しむチームメンバーを歌で励ましてきた。
強くはないが欠かせないパーティメンバーなのだ。
「さぁ行こう魔王戦だ。みんな気合いを入れていくぞ」
皆緊張している。最終決戦だからだ。
勇者アダムの掛け声で魔王の間への扉が開こうとしていた。
「アダム少し気が早いよ。支援曲をかけるから少し待って。みんな肩の力を抜きな」
ユウトはすかさず足を止めさせて自動HP回復のメロディとステータス上昇のメロディをチーム全員にかける。
「ユウトなんだか力がみなぎるよ。いつもありがとうな」
ユリウスはユウトの理解者だ。行く街全てで連んでナンパを良くしていた。
へい彼女お茶してかない? って一晩中ナンパしまくっては彼女を作り、
街を出ていくときには泣かれて、
生きてまた私の元まで戻ってきてくださいねと言われ、お互い星の数程現地妻がいる。
彼女達の為にも勝って凱旋しなければならない。
勇者はではいくぞと目くばせをして魔王の間に入る。
魔王の間そこは贅の極みを尽くしたかの様な部屋ではあるが、
黒を基調とした落ち着く雰囲気の部屋である。
その端の玉座に魔王は座り顎に手を当てながらつまらなさそうな顔をしている。
「何をしにここまで来たかなど余は聞かぬ!しかし余の覇道を邪魔する者があれば殺して突き進むまでだ」
最終決戦の幕は下ろされた。
魔王は立ち上がりゆっくりこちらに向かってくる。
ユウトはまず魔王のステータスダウンのメロディをかける。
魔王は嫌な顔をしてスキルでこちらを狙う。
「凍りつく視眼」
マヒの効果のあるスキルだろう。しかし聖女アイリスはユウトの口にまひなおしの葉っぱを詰め込む
「貴方の様なチャラ男には葉っぱがお似合いよ」
アイリスはチャラ男が嫌いだ。
チャラ男には魔法使わず道具をぶっかけたり口に詰め込んでくる。
「ありがとうアイリス! 君は何て素敵なんだ僕のハートを鷲掴みさ」
ユウトは歯の浮くようなセリフでアイリスにお礼を述べる。
ーーアイリスは寒気がして震える
「このチャラ男が! 最終決戦で変な事言ってないで集中しなさい。
貴方の心臓は魔王に鷲掴みにされるわよ」
勇者と聖騎士は魔王に剣撃を当てながら、
中衛と後衛への盾になっている。
ユウトはもうバフにデバフにHP徐々に回復とやったからやる事がない。
魔法士は魔法を撃ち込み聖女はパーティのHP管理をする。
吟遊詩人としては準備は終わっている。
仕方ないから前衛の助けをすべく仕込み刀を抜いて魔王の死角から剣を刺す。
ペースは完全に勇者パーティが握っていた。
魔王はHPが尽きて第二形態を取り出した。
「フハハハハ! 余を本気にさせるとは流石勇者パーティだな。
しかし本気になった余を止められるかな」
魔王は自身にかかっているステータスダウン効果を消し去り更には勇者パーティ側の支援曲効果も消しさった。
ユウトはやれやれと思いながら中衛に戻りハープを手にしてまた味方に支援曲をかける。
魔王へのステータスダウン曲は効果がないらしい。
なぜならステータスダウンをさせる度にその効果を打ち消してくる。
余程デバフが嫌いらしい。
だが待てよデバフを嫌いデバフ効果を一々打ち消しているから、
その分魔王は攻撃に集中出来ない筈。
ユウトはデバフの曲を流し続けて妨害しまくった。
勇者と聖騎士は攻撃しやすくなり剣撃を当てまくる。
魔法士は大魔法をこれでもかと撃ちまくる。
デバフに気を取られすぎた魔王は遂に力尽きて
光の粒になり消え去った。
勇者パーティはようやく魔王を倒したのだ。
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