家の中は脳味噌の中

 家の中は聖域であり、何人たりとも侵してはならない。それこそ親、友人、修理に来た業者であってもだ。本や冷蔵庫、衣類や家具を見れば、私が何を食い、何を考え、何を求めるか、そういうのが全部丸裸になってしまう。そんなことは、あってはならないのだ。


 学生の時、友人とも言えないような、知り合いの知り合いの家に泊めてもらったことがあったが、そんな間柄の私でも泊まれるぐらいだから、色々な人が出入りしていたのだが、私には信じられないことだった。物を盗まれたら? 酒を飲んで終電を逃した知り合いが来て、嘔吐したら? いや、それでなくとも、眠りたい時間に他人に囲まれているのもストレスだ。どうにもならなくて、ネットカフェに泊ったことが二三回あるが、全くもって眠れなかった。そういう機微はないのか? 泊りに行った時の私は深酒をしていて、電車もなく歩いてきたので、相当に疲れていたが、やはり神経が張って、ほとんど朝と言うような時間に、気を失う形でやっと眠れたものだ。

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