第50話思わぬ契約
デルガが魔界から自身の配下である悪魔族5人を連れて来てから丁度5日が経った。
1日目の時点で魔界から連れて来られたフレーザーと契約出来たのは紅葉。
2日目は紅葉と同じギルドのギルド長である玖珂鳳翔が身長が150あるかないか微妙なラインのメイドである
アル・フィールドと契約を成功させた。
3日目は盾峰が2mを超える巨大の持ち主のバーレン・ファイズと契約を成功させる。
4日目は1日目にフレーザーに吹き飛ばされたパーシヴァル沢田が眼鏡をかけた執事となんとか契約を成立させる。
5日目の今日
最後の1人の契約者を決める時だがまだ決まっていなかった。
デルガが呼んできたウチの1人である悪魔族のヨハネ・ライズは困った表情をしていた。
「デルガ様……強さ自体は妥協出来るのですが、魔力の波長が合わないというか。他にいないんでしょうか?」
自身の主であるデルガにもの凄く申し訳なさそうに他に候補はいないのかと聞く。
地面に転がっている契約出来てないSランクハンターはかなり遠回しに自分達が役不足と言われた事に気付き悔しそうに地面を叩く。
「そう言われても主様が言うには他のSランクハンターは個人でレベル上げに勤しむと古豪?とやらから連絡を受けたらしい。この際魔力波長は妥協出来ないのか?」
「多少なら目を瞑れますがここの者達は私の魔力の波長と合いません」
「………ふむ」
デルガとヨハネは2人一緒に頭を抱えてしまった。
2人が悩んでいる時真は少し離れた所で獅堂と一緒にアグリードから魔法の授業を受けていた。
「ーーーーーという訳です。主様、獅堂お分かりになりましたか?」
「なんとなくだけどね〜」
「真と違って俺はレベル低いからまだまだ本格的な魔法は使えないかな。出来て身体強化がやっとだと思う」
「少しでも戦力アップを図るならレベルアップが1番だけど短時間でレベルアップが続くと自分の体と認識との間に差が出てくるんだ。これは戦闘中は命取りになりかねない」
「主様良くお分かりですね。これは主様も1度経験なさった事なのです」
アグリードの言葉に獅堂は意外そうな顔をする。
「……なんだよ?」
「俺の顔の通り意外って思ったんだよ」
「うるさいわ!!」
「主様!!」
獅堂にツッコミを入れた直後デルガから名前を呼ばれる。
振り向くと2人が歩いて戻って来ていた。
「申し訳ございません。ヨハネがSランクハンターと契約出来ませんでした」
2人が真の前に着くと唐突に跪きそう口にした。
一瞬頭が真っ白になったがなんとか切り替えて対応する。
「一々跪くなって!見てるこっちの胃が痛くなる!」
その言葉に渋々立ち上がる2人は申し訳なさそうに真を見る。
ヨハネが真を見つめた瞬間固まる。
「ヨハネ?」
「デルガ様……契約者は必ずSランクハンターで無ければいけないのですか?」
どこかを見つめたままヨハネはデルガに質問をした。
質問に困ったデルガは真に目を向ける。
視線の意図を理解した真がヨハネの質問に答える。
「戦力の増加を狙うなら現時点でのトップ層と契約した方が賢いだろうね。だけどそれはなるべくの話、他に君のお眼鏡に叶う人がいたら契約してくれ」
「質問に答えて下さりありがとうございます真様。では私は気に入った者と話をさせていただきます」
真が道を譲るとヨハネは歩きだした。
気に入った人間の後ろに立つとその名前を呼ぶ。
「麻倉獅堂といったか?話がある」
「え?」
「魔力の波長からお前が1番私の魔力と合うと判断した。貴様と契約してやる。愛用の武器を出せ」
「え、え?どういう……え?」
獅堂は突然の契約してやるという言葉に混乱して動きが完全に止まっていた。
「獅堂取り敢えず武器出しとけ」
「真?」
状況を理解していないが指示通りにアイテムボックスから愛用の武器である《魔鉄の短剣》を取り出す。
《魔鉄の短剣》から獅堂の魔力を確認したヨハネは初めて笑顔になった。
そして獅堂本人の魔力を確認すると更に笑顔になった。
「お前!!想像以上に私と魔力の相性が良いな!!!最高に気に入った!!今まで見てきた人間達の中で1番魔力の波長が合う……もはや感動ものだ」
壁に向かって祈りのポーズをする
真、獅堂、デルガ、アグリードはヨハネの行動に思わず目が点になる。
うきうきなヨハネは自身の指を切り血を出すと《魔鉄の短剣》を手に取ると血で何かを書き込み小さく詠唱をする。
詠唱が終わると獅堂とヨハネの体を光が包み込む。
そのまま光が体の中に吸収されるとヨハネは短剣を獅堂に返す。
「デルガ様!気分が良いので1度魔界に戻らせて頂きます!!では!!!」
ヨハネはゲートを開くと止まる事なく普通に入っていった。
4人どころかその様子をSランクハンター全員が目撃していて唖然としている。
一部のSランクハンターは「ボコれ損なのでは?」という声が上がったがデルガは視線だけで黙らせる。
「何が起きた?」
「Sランクハンターより全然強い悪魔族の貴族と契約した」
「字面強くない?」
「文字通り強いな」
獅堂は拳を握ったり開いたりした後ジャンプなどをして体の調子を確認する。
「アレ?」
「どうした?」
「少し身体能力上がってる?レベルアップしてないのに……」
「獅堂、魔力の波長が余程合わぬ限りそこまでの効果は無いと聞く。なし崩しにヨハネと契約してしまったが1年後の為にレベルアップ手伝ってもらえ」
「嫌だなデルガさん僕は進んで死にに行かないよ?」
「私と契約したんだから存分にその力をふるいたまえ」
「ヒギャァァァァァァァァァァ‼︎‼︎」
突然肩に置かれた手に乙女のような高い悲鳴を上げる。
獅堂が急いで振り向くとそこにはいつの間にか魔界に帰ったはずのヨハネがいた。
「帰ったんじゃないんですか?!」
「帰省じゃないんだから……ね?」
ネットリとした声が獅堂に纏わり付く。
逃げられないと悟った獅堂の顔は少しだけげっそりしていた。
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