第43話レベリング



問題児三人衆に絡まれた後何事もなく平和が1日が過ぎる。

未だに学校にマスコミが来る事を除けばだが。

帰り支度をしていると獅堂が真に声をかける。


「真、朝絡まれた問題児ギャルの三人衆覚えてるか?」


「まぁまぁインパクトがあったからな。それがどうした?また何か言って来たりしたのか?」


「そういうわけじゃない。ただーーー」


真に近づき耳打ちをする。


「ラブレターの名前の中でリーダー格のアイツが飛び抜けて良い噂を聞かない」


「…………」


「気を付けろ」


真剣な表情で真に警告を出す獅堂は肩をポンと軽く叩くといつも通りの若干チャラチャラとした表情に戻る。

帰り支度が終わり鞄を担ぐと教室の入り口から聞き慣れた声がする。


「お兄ちゃーーん」


「あ、響のお兄さん!今日部活休みなんで遊びに行っていいですか?」


響の親友である寿楓が手を振りながら元気に確認を取りに来た。

獅堂の存在も見つけるとお辞儀をする。


「麻倉さんお疲れ様です」


「楓ちゃんなんかよそよそしく無い?もっとこう……真みたいに獅堂兄さん!的な感じで来てくれてもいいんやで?」


「はは、は………」


獅堂の言葉に答えられず誤魔化し笑いをしながら目を逸らした。


「ナイスなキモさ流石獅堂さん」


「ナスキモさす獅堂」


「酷いな響ちゃん?!それに真は略すなよ!!」


騒がしく反論をする獅堂を嗜めると皆で教室を出ようというジェスチャーをして鞄を持つ。


「騒がしいのは家に帰ってからでいいべ?あ、それと響今日のご飯は作らなくても大丈夫だ。1階のハンター協会のスペースに飲食出来る店がある今日はそこで食べよう。獅堂と楓ちゃんも今日は俺の奢りだ」


「いいんですか?!やったーーー!ありがとうございます響のお兄さん!1度食べて見たかったんだー!」


「マジでいいの真?!サンキュー!」


喜ぶ獅堂の肩をガシッと掴む


「夕食は奢るが昼飯代は明日きっっちり払って貰うからな?」


「はぃ……」


誤魔化す事は無理だと悟ったのか大人しくなる


「よし帰るぞ」


教室を出て階段を降りると途中で朝の問題児ギャル三人衆とすれ違う。

すれ違う瞬間に3人とも真の事を強く睨んだ。


(あの目……何か企んでるのか?)


何故そんなにも睨まれるのか分からない真は疑問に思いながらも玄関に着き靴を履き替える。

それぞれが準備をして学校を出ると今日1日通して学校に来ていなかった2・人・の名前を呼ぶ。


「デルガ、アグリード。今から帰る」


パチパチパチィ


少し優しげな音が鳴りゲートが開く。

中からはかなりラフが格好を2人が登場した。


「………なんで籠手っていうか鎧の一部のガントレット付けてるんだよ」


真のぼやきにデルガが元気に答えた。


「主に危険が迫った時相手を殺さず制圧する為です!拳なら殺す事はないので」


(((半殺しになるだろ《なるでしょ》)))


響、楓、獅堂が一斉に心の中でデルガに対してツッコミを入れる。


「「はぁ……」」


もう慣れたはずのデルガの野蛮気味な発想に溜息が漏れるアグリードと真。


「ハンター協会の1階に連れて行ってくれ。今日はそこで夕食済ませるよ。そのあと暫く獅堂とこの楓って子がうちで遊ぶ事になった」


「左様ですか。食後の後はゲートに戻っていましょうか主」


「いや、いいよ一緒に遊ぼ」


「「はい!」」


真の一緒に遊ぼうという提案に2人はハッキリと返事をする。


この後予定通りご飯を食べ、獅堂と楓を混ぜた6人で夜の8時まで遊んだ。

楓は帰るのが遅くなり親に怒られたのは言うまでもなかった。

獅堂は両親が共働きのため帰りが遅い事が幸いし怒られる事はなんとか回避する事に成功する。







獅堂と楓が真の家に遊びに来て楽しんでから1週間が経ち夏休みに入った。


アスマディアから齎された情報で魔族の侵攻は約1年後とすぐそこまで迫って来ていた。

ほんの少しでも戦力と自衛能力が欲しいと思った真は獅堂を呼び出し事情を話す。


突然の説明に最初は困惑した獅堂だったがなんとか理解を得られる事に成功した。

そしてさっそくレベル上げの為に真と獅堂は朝早くからダンジョンに潜っている。


「なぁ真。レベルってどれだけ上げれば自衛出来るかな?」


「ハッキリ言うなら俺でも足りないぐらい。だからレベルを上げすぎる事に越した事は全然ないの。

悪魔族の地球への侵攻を知っているのはハンター協会の古豪会長と白蓮騎士ギルドの人数人と各ギルドのギルド長と副ギルド長だけだよ。

情報をばら撒いて下手に混乱したら手がつけられないからね。

つい先日テレビでアメリカ最高峰のSランクハンターとそのギルドメンバーも死んだの知ってるだろ」


「世界的な大ニュースだから知らない人はいないだろ」


「そう。そんな人が死んだ時でさえネットは史上最大規模で大荒れた。侵攻の情報なんて流れたら何が起きるか分からないんだ。だから秘密裏にトップにだけ知らせてレベルアップを促したんだ。だけどこの情報は野良には行き渡らない」


「マジで?」


「大真面目にマジだ。獅堂……死ぬ気でレベルアップしてくれ」


真剣な目で見つめる。

今までにないくらい真剣な目で見つめる真を見つめ返し答えた。


「侵攻が来るまでにレベル100まで行ってやるよ」


「なら俺は200レベルだ」


2人は拳を突き合わせるとアイテムボックスから相棒の武器を取り出す。

獅堂は前の真と同じく短剣二刀流で真は《鬼王の魂 : 槍》を呼び出した。


「《来い鬼王の魂》!」


光の粒子が真の手の中で形作られていく。

光の粒子から《鬼王の魂 : 槍》に完全に変化すると2人は武器を構えた。


「こっから1時間……休憩なしだ!!!」


飛びかかって来たウルフの体を獅堂の短剣が切り裂き真の槍が頭部を切断した事で1時間耐久レベリングが開始した。




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