第44話収穫?



「獅堂〜モンスター足りるかーー!!」


「2、3体追加ー!」


「あいよーー!」


注文の通りに押し留めていたモンスター3体をわざと獅堂の方へ逃げるように誘導する。


獅堂の方へ逃げて来た先頭のモンスターの首に一閃、その後ろにいたモンスターの顎に全力で蹴りを放つ、最後に来たの モンスターの顔へ向けて持っていた短剣を目眩し目的で投擲する。

モンスターはびっくりして尻餅をついた。


絶好のチャンスを逃すはずもなく獅堂は短剣に魔力を纏わせてその首を斬り落とす。

壁に刺さっている短剣を引き抜くと真に声をかける。


「真!まだ余裕がある!もっと寄越してくれ!」


「じゃあ!ウルフを5匹ほどそっちに送る!」


さっきと同じ様に獅堂の元へ逃げるように誘導する。


「よっしゃ来い!」


5匹のウルフに向けて走り出す。

自分たちの方へ向かってくると思っていなかったのかほんの少しウルフ達はブレーキをかけてしまう。

スピードが落ちた所を狙い先頭のウルフの頭を蹴り上げる。

浮いた所を短剣で突きを放ち吹き飛ばす。


「次!」


吹き飛んだウルフが別のウルフを巻き込み地面に転がるのを確認する前に獅堂は横に後続のウルフに斬り上げ送る斬り落とし突きを連続で叩き込み一瞬にして絶命に追い込む。


他の2匹が飛びかかって来る。

地面を這うようして避けると即座に2本の短剣を投擲して反撃する。

投擲した短剣は2本とも頭部に刺さり絶命する。

残りは顎を砕かれ逃げ腰のウルフ1匹と、逃げ腰をウルフを突き飛ばした時に巻き込まれたウルフの2匹だけだった。


「流石に学んで急には襲いかかってこねーか」


アイテムボックスから予備の短剣を取り出して構えるまで一切の襲撃は無かった。

短剣がなくても勝てる見込みは無いとウルフは判断したのだ。




数巡睨み合う


背後は真が居て前には獅堂がいる状況ではどちらにしろウルフには死しか残されていない。

我慢出来なかったウルフが2匹とも少しでも勝てる可能性のある獅堂に飛びかかる。


「待ってた!!」


一瞬に体勢を低くする。

脚に魔力を廻し地面を強く蹴った。


次の瞬間には獅堂は地面におらずウルフの背後に回っていた。

止めを刺すために交差させていた短剣を壁に叩きつけるイメージで思い切り2匹のウルフの頭に叩き込んだ。


ドッッ!!


という重い音が響く。

そのまま壁にぶつかると1時間耐久レベリングが始まってから1番の音が真の耳にまで届いた。



そして


「獅堂!1時間たった!」


真が1時間耐久レベリングの終了を告げる。


「おっしゃーー!!!!」


喜びの叫びを上げダンジョン内に座り込んだ。

その様子を確認した真は獅堂を襲おうとしていたモンスター達に《鬼王の: 槍》を向けて魔力を放った。


「「「「グルルルぁぁぁ?!」」」」


紫色の魔力が解き放たれるとまだ残っていたモンスター20数匹を纏めて消しとばした。


(これ……魔法を放つ時に魔力を増幅させる役割を持つ専用の杖と同じ役割を持つから魔法使いと比べて魔力が少ない俺には大助かりの逸品だな)


相棒武器第3号となった《鬼王の魂 : 槍》の思っても見なかった副次効果にホクホクになる。

ちなみに相棒武器第1号と第2号は《紫紺の短剣》と《毒鳥の羽剣》である。


真は武器を仕舞うと獅堂に歩み寄る。


「獅堂この1時間でどれだけレベル上がった?」


質問に疲れた様子を見せながらもステータスを確認する。

最初はぼーーっとしていたが徐々に表情が出てきた最終的に笑顔が溢れた。


「真!真!!レベルが10も上がってるし何よりスキルゲットしたぞ?!これでもっとステータスに磨きがかかるんだよな?!」


興奮しているのか座り込んでいたはずが飛び上がり真に詰め寄っている。


「え、もしかしてこれ俺もSランク目指せちゃうパターンか!そうなのか?!」


余程嬉しいのか少々考えなしの発言をするが真は苦笑いを溢すだけだった。

何故なら真自体もレベルが上がると高揚感と万能感に少し支配されたからだ。


「それで?どんなスキルをゲットしたんだ?」


獅堂の楽しげな雰囲気を壊さないようにどんなスキルをゲットしたのか質問をする。


「1つはお前も持ってる《短剣術》!もう1つはよく分からん」


「よく分からん?見た事ないのか?」


「俺も前一度真とダンジョン潜ったあと家でスキルとか調べたんだよ。その覚えている限り同じ名前のスキルは無かった」


「嘘だろ?!どんなスキルだ!」


獅堂の言葉に興奮を隠せない真。

無理もなかった。獅堂の言葉が正しいのなら世界初の新スキルという事になるからだ


獅堂はもう一度しっかりとステータスのスキル欄を見てから真に告げる。


「《異召喚いしょうかん: 剣》」


「……確かに聞いた事もまとめ記事でも見た事ねぇな」


どんな効果なのか2人で唸っていると小さな音が響きゲートが開く。

その中からいつもの2人であるデルガとアグリードが出てくる。


「ちょうど良いデルガ《異召喚 : 剣》のってスキル知ってるか?」


「《異召喚》ですか?それは私達がいた世界にある無数の剣の中からランダムで質の低い剣から召喚するスキルです。極々偶にですが最上級の武器を召喚する時もある様です」


「デメリットは?」


「召喚するのに、思ったより魔力を消費する事だけでしょうか?」


デメリットは魔力を消費する事だが、大したデメリットにもならないので獅堂は大喜びしている。


「あ、でも獅堂お前魔力あるのか」


ピシッッ


真が何気ない疑問を口にした瞬間獅堂の周りの空気が固まる。

それを見てデルガ、アグリード、真の3人は察する。

「魔力そんなにないんだ」と


「レベル上げ頑張るぞオラーーー!!!」






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