第39話 前兆



アメリカ: 離島


「なんで、なんでこんな所に悪魔族がいるんだよぉぉ!!!!」


『ゴミが……死ね』


「やめ、やめみぇっ!」


ゴキッ……ドチャ


悪魔族と呼ばれた異形の存在が拳を振るうと男の頭がグルリと周り千切れ落ちる。

漂う血の匂いがまた一段と濃くなった。


『空気が多少汚いが……景色はさほど悪くない』


口を抑え『クックックッ』と笑う

そんな異形の存在を討伐しようとアメリカ最高峰の存在と噂されているSランクハンター

ダグラス・ボルグとダグラスが所属しているギルドのハンター達が駆けつけた。


『ほぅ?ゴミの中には虫がいるようだな?』


血を払いダグラスと向き合う異形

警戒を最大限以上に引き上げ武器を構える。


「お前、なんでこんな事をしたぁ!!!」


『なんでなどと異な事を言うな。虫を殺すのに理由がいるのか』


「……!!!全ハンター目標を包囲!今ここで指定災害モンスター族『悪魔』を今!ここで!!殲滅する!!」


「「「「「「おう!!」」」」」」


ダグラスの指示通りにハンター達が異形を囲み様子を見る事なく魔法を撃ち込んでいく


「「ファイアーストーーム!!」」


「「「サンダーーストライク!!」」」


「「ウィンドカッターーー!!!!!」」


Sランクハンター1人、Aランク魔法系ハンター12人.Bランク30人とSランクダンジョンをクリアするより過剰とも言える戦力を投入している。

多種多様な魔法をとにかく対象に向かって撃ち込んでいるが近接特化のSランクハンターのダグラスは違和感を感じたいた。


(何故、悲鳴すらも聞こえて来ない。聞こえる前に死んだというのならそれまでだが……未だに魔力反応が途絶えない。みんななには合図を出すか魔力が無くなるまで魔法を放てと言っているがーーーー)


刹那視界を覆うほどの爆発が魔法の着弾点から起きる。

咄嗟にアイテムボックスから自身とほぼ変わらないほどの巨大な盾を取り出し爆発から体を守る。


(なんだ?!何が起こった?!)


20数秒爆炎がダグラス含めた全ハンターを襲う。




爆炎が収まるとダグラスは盾から顔を出し異形が死んでいるかを確認する。

しかし異形の魔力が未だ確認出来ている。

つまり


「嘘だろ……?」


『ふぅ……』


全く傷を負っていない異形が埃を払うように肩や脚をポンポンを叩いている。

誰か斬りかかるハンターはいないかと辺りを見るが殆どハンター黒焦げになってしまっている。

数人生きてはいるがもう虫の息だったり四肢の欠損が確認されている。


首をコキコキと鳴らすと異形はダグラスに向き合う言葉を話す。


『今の魔法のシャワーは気持ち良かったぞ虫。褒美として我の真の姿を見せてやろう』


自分の存在を誇示するかのように両腕を広げる。


『リリース……アニマ!』


異形の姿が弾けて影が溢れ出す。

その際に影が暴風となりダグラスを襲う。


「ぐっ!」


数秒経つと溢れ出した影が収束し異形の本来の姿を形作る。

異形の姿はなくなり2mほどの荒々しい印象の偉丈夫となる


「これが我の真の姿!!虫に見せるには惜しすぎる玉体!!!!さぁ!冥土の土産にその目に刻めぇ!!」


悪魔の偉丈夫が叫んでいる途中でダグラスが襲いかかった。


「死ねぇぇぇぇえええ!!悪魔ぁぁぁぁぁ!!!!」


「ふはっ!」


2人の頂上が離島で激突する。







『緊急速報です。20時間ほど前にアメリカの離島でダンジョンから悪魔族が出現し住民とハンターを含めた3万人を虐殺したとの事、中には人類最高峰の1人と言われるダグラス・ボルグとそのギルド仲間も含まれていたの事です。アメリカ政府はーーーー』



「「…………え?」」


テレビから聞こえて来た情報にアメリカのみならず全世界が驚愕に包まれる。

それは日本も例外ではなかった。

荒鐘家の朝の食卓も突然の爆弾のレベルの情報に頭が真っ白になる。


「悪魔族?……3万人の死亡だと?。まさかまた過去の歴史が繰り返されようとしてるのか?」


思わず呟くのも無理はない。

ダンジョンが出来てから今までたった一度だけ人類は悪魔族に負けかけた事があった。

テレビの情報によるとそのままどこかに消えた去ったと報道している。

一連の報道を見て真や響だけでなくデルガやアグリード。

あとついでにアスマディアも険しい表情になっている。


「3人は何か知ってるの?」


お気に入りの食べ物であるたくあんを口に含みながら響が同じ悪魔族であるデルガ、アグリード、アスマディアになんとなく聞く。


「響……確かに私達は悪魔族です。しかし同じ悪魔族の中でも派閥という物が存在します。人間にも派閥がありますよね?」


デルガが答えて更に響に質問する。

確かにと言った様子で響は肯く。


「人間より悪魔族は遥かに強大な力を有しています。それが人間レベルとは行きませんがかなりの数が存在しています。おおよそ3000万……これか私が覚えている限りで最大の記録です」


コーヒーを飲み一度落ち着く


「その中で私達3人含め貴族と呼ばれる悪魔族に派閥が存在します。その派閥の中でも特に私達と相容れない派閥が存在します」


「その派閥って?」


真も興味が出てきてデルガに質問をする。


「この人間界の蹂躙、奴隷化を掲げる派閥」


またもや食卓が静かになる。

響は真っ青に真は険しい表情となる。


「下級貴族でさえダンジョン決壊が起きた時の紅葉より下回るか同等の実力を有しています」


「うそ…下級貴族でさえSランク?」


「私は上級貴族のですがまだ1つ上の公爵……公爵の中でも更に選りすぐり悪魔貴族である王族が存在します」


「姉上それは……」


「構わん」


アグリードはデルガを諫めるように声を掛けるがデルガはそれを抑える。

アスマディアは口には出さないが微妙な表情になっている。


「公爵の中のある派閥が王族に謀反を起こしのです。私も最近ある筋から情報を手に入れました」


チラリとデルガがアスマディアを見るとビクリとして顔を背ける。


「近々このテレビの報道より酷い事が起こるやもしれません」







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