第32話 試験開始
「君達
「私はいいですよ暇でしたし」
「私も」
「なんで新人の僕が監督を……ゔっ胃が痛い」
白蓮騎士ギルドの面々が返事をしていく
そしてギルドのトップと紅葉が答える。
「気になるなものだ。人類の敵であるはずの
「真君は凄いよ〜?装備による能力値のブーストがあるといってもダンジョンで起きた戦闘の最後の方ではレベルもかなり上がってる感じで少なくとも俊敏は私と同等まで上がってたよ」
紅葉の言葉に下のランクの団員はいまいち理解出来ていない様子だったがBランクから上の人達は顔を強張らせていた。
それはギルド長でさえ例外ではなかった。
ゴクリと誰かが唾を飲む音が聞こえる。
「日本のSランクの中でも俊敏の能力値が上位の紅葉に追いすがるだと?」
「真君の単体の実力ならまだ私の方が強い……これは確実だよ。だけど」
伏せて目を上げる。
「真君が契約してる悪魔が出張ると私は何も出来ずに蹂躙されるだろうね」
ギルド団員が集まる部屋の空気が固まった。
そんな中ギルド長の口角が上がる。
「面白い。紅葉私が相手をしてもいいかな?」
「私がSランクの試験監督として呼ばれたから駄目かな〜」
「ちっ」
舌打ちをしたがその顔は嬉々としていてまるで起こっておらず寧ろ楽しんでいるようだった。
「話も終わったようだな?ではランクアップ専用の試験会場に来てくれ。既に彼はいるよ」
ハンター協会の地下
「協会の地下にはこんなに広い空間があったんだな」
「主は来た事ないのですか?」
「そりゃあそもそもこの空間はランクアップ専用の試験会場なんだから来た事ないのは当然だよ」
靴紐をある程度固く結ぶ
荷物をデルガに預けて体を解すために柔軟をしていく。
「主、私を侮辱されたからと言って急いでランクアップをしなくても」
「デルガが良くても、僕が良くない」
強く返す
真の言葉に少し嬉しくなったのかデルガは一礼すると職員に案内され観戦スペースへと歩いて行く。
「アグリード、心配は要らないよ?」
「しかし、姉のデルガより実は心配症とか…可愛い所あるじゃん?」
「なっ?!からかわないで下さいっ!」
赤面して声を上げる
真はそんなアグリードを見て笑うと勢いよく立ち上がる。
アグリードはゲートを開きデルガの元へ行く。
「来た」
扉が開く
現れたのはしっかりとした装備に身を包んだハンター達だった。
白蓮騎士ギルドに人達に向き直り意識を変える。
「遅くなったかな荒鐘君」
「丁度俺も準備が出来た所ですよ」
「宜しい。ランクアップ試験の内容を知っているね?」
「純粋な戦闘力の有無」
「その通り!まずはEランクの試験からだ。
「はい……」
憂鬱な顔の少年が現れる。
吾妻と呼ばれた少年は手を上げて古豪会長に質問をする。
「会長、話に聞く限り明らかに低ランクじゃないですよね?僕とかいります?」
「規則ですから」
「そんなぁ…!」
「さぁ、双方!立ち会って!試験監督以外は観戦スペースへ!」
古豪会長を含めた全員が観戦スペースに行く。
そして試験会場には真と吾妻だけとなる。
覚悟を決めたのか吾妻の雰囲気がガラリと変わる。
『準備はいいかね?』
マイクを通した声が2人の耳に届くと吾妻はアイテムボックスから剣を取り出し、真は短剣を出さずに拳を構える。
『それでは………始め!』
動きはない
吾妻が口を開く
「お前、武器はどうした?構えろよ」
「要らん」
「っ!!!」
「本気を出す必要性を感じでいない」
「な、舐めんなぁぁぁぁあ!!!」
吾妻がジグザグに移動しながら走りだす。
そして真の背後に周り剣を振る
しかし
「遅い」
体を回転させて吾妻を認識
そして振り下ろして来た腕を掴み更に体を捻り勢いをつけて地面に叩きつける。
「ガハァ?!」
バウンドをしてほんの少しだけ浮く
そこを逃す事なく即座蹴りを入れた。
蹴り飛ばされた吾妻は試験会場の壁に叩きつけられ大きな音が鳴る
瞬殺
言葉に表すなら正にそれだった。
白蓮騎士ギルドの団員の反応はそれぞれ顔面を蒼白とさせる者、唖然としている者、真と戦う事を楽しみにしている者となった。
真が深呼吸した所でマイクを通して古豪会長の声が聞こえた。
『いやぁお見事。想像以上だよ荒鐘君。一応聞くが休まずにこのまま試験を受けるかい?』
古豪会長の問いに真は
「勿論です」
涼しい表情で答えた。
『それでは、準備はいいかね?次はDランクへのランクアップだ。それと真君』
「なんですか?」
『さっきは少しやりすぎだな。勝てばいいがこれは試験だから手加減はするように』
古豪会長から真が注意を受ける
注意を受けた真は観戦スペースにいる古豪会長に向けて軽く頭を下げるとまたも武器を持たずに拳を構える。
「あんまり私達を舐めない方がいいよ?」
Dランクの試験監督は真より年下で少女だった。
勝気な性格なのか拳でランクアップ試験に挑む真に対して怒り睨む。
『始め!』
Dランクへのランクアップ試験が開始した。
30秒後
試験が終了する。
真の相手をしていた試験監督の少女は座り込み悔しいの床を何度も叩いていた。
「くそっ!くそっ!!」
悔しがる少女に白蓮騎士ギルドの1人が近づく。
「まぁまぁ、落ち着けよ。聞いていただろう?俊敏の能力値は紅葉さんと並ぶってさ?」
「そうだけど」
「出来レースみたいなもんだ。この戦いは負けてもさほど傷にはならないよ」
少女は溢れそうになっていた涙を拭き立ち上がる。
「荒鐘真!!絶対追い抜いてやる!」
「無理があろうと思われます」
「ウキーーーー!!」
少しふざけて反応する真に腹を立て地団駄を踏みながら観戦スペースへと戻って行く。
「さぁ次Cランクのランクアップだよ」
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