第14話合流



「ふっ!!」


「くっ!」


2人組のハンターが背中合わせにモンスターと戦っている。


「鹿島、いくらAランクのダンジョンが決壊したといってもこれは少しキツすぎませんか」


「まだSランクのダンジョンには潜った事はないがCランクだった時に入ったAランクのダンジョンより明らかにキツい」


「まさか階・層・ダンジョンだったというオチじゃありませんよね!」


襲い来るCランクモンスターのオーガを炎で焼き尽くすと芥は叫ぶ。


「この数時間だけで数ヶ月分のモンスターを狩ってるんですよ!高ランクの人達ならまだ体力はあるでしょうけど低ランクの人達には荷が重すぎる!いなくなったら高ランクの負担が増えてダンジョン閉じる事が出来なくなります!そうなればこの都市1つは捨てる覚悟が必要になる……!!」


「うらぁ!!!…ふぅ、取り敢えず倒すぞ」


「分かってる」


少し本性が出始めたら芥と鹿島は目につくモンスターをとにかく殺していった。









両手に短剣を持ち攻撃の手数が増えた真はモンスターを倒して歩いていた。


『主、少し休んだ方がいいのでは?疲れたままだと足元を掬われてしまいますよ!』


「休みたいけど楽しいからこのままでいい。それに……」


汗を拭いながら周りを見る。

ハイオークをステゴロで殺してから30分は経っているが未だにモンスターが現れ真に襲って来ている。


「休めないからな」


『これでは根本を叩かないといけませんね』


「根本?」


『ダンジョンは通常ボスモンスターまたはダンジョンの核と呼ばれる物を破壊する事で閉じる事が出来ますよね?』


数日真と一緒に暮らした事でアグリードは知識を付けていた。

そんなアグリードの説明を聞きながらモンスターからの襲撃に対処する。


「こんなモンスターの波を渡ってダンジョンに潜りボスを叩けと」


『その通りです』


「ふぁーーーー………」


精一杯ふざけるが覇気が全く無かった。

しかしはある考えに辿り着く。


「アグリード、初めてお前らがこっちに来た時助けた3人の事覚えてるか?」


「えぇ、顔、体格、魔力の質から全て記憶しております」


(プロのストーカーレベルかよ)


「Sランク1人に飛び級した天才のAランク2人と絶賛レベルアップ中の俺にデルガとアグリードがいればボスを叩く事は難しくない……よな?」


『正直姉上1人で充分ですが姉上が行ってしまうと外の防衛に穴ができ被害がかなり増えるかと…』


気まずそうに真に答えるアグリード


「ならピンチの時はアグリードに頼るかそれ以外は基本的に自分でなんとかするよ。魔力広げて探してくれ」


真に言われ魔力を広げる。

周りのモンスターは話してある間に一掃できた為焦る必要は無かった。

5秒ほど魔力探知を起こっていると反応が引っかかる。


『西に2人組のハンター、その地点から北東に主が言うSランクの魔力がありましたが……これは」


「どうした怪我でもしてたのか?!」


『いえ、魔力からして怪我どころかかすり傷すら負っていませんね。ただ場所が問題でしょう』


「場所?」


『決壊したダンジョンのゲートの前にいます。動きからして何度も突入を試みてるが数に押し返されているといった感じでしょうか?人手が足りないようです』


「よし芥さんと鹿島さん連れて今すぐ紅葉さんの元へ行く!ついでに経験値に稼ぎだ!!」






ハイオークを倒してから何十匹も狩り今の話し合いの最中でもモンスター襲撃に対処したお陰でかなりレベルアップして身体能力も上がった。

当然感覚の能力値が上がった為に数値に振り回される事もない。


飛び出して来たゴブリンを蹴り殺す

遠くにいるオークに短剣を投げる、加速して刺さった短剣を振り抜き首を落とす。


短剣に魔力を長・く・纏わせ建物の上から襲って来たハイオークの体を両断する。

そのまま短剣なら纏っていた魔力に離れた位置にいるオーガに放つと偶々心臓を貫き絶命させる。


【レベルアップ】


【レベルアップ】


「オーガつよ?!真正面から戦いたくないな」


開けた場所に出るとそこにはオーガ、ハイオーガが集団で誰かと戦っていた。

手伝おうと思い真が脚に力を込めると爆炎が上がる。


「………え?」


突然の爆炎に頭が混乱する。


『着きましたよ』


「え?」



モクモクと上がる煙の中から出て来たの薄汚れた装備を付けている鹿島と芥だった。

咳をしながら出て来ていた。



「ゴホッゴホッ芥ぁ、ハイオーガまでいるじゃねぇか!なんでだよ!」


「ダンジョンが決壊した事以外知りませんよ!!!!ゴホッゴホッ?!」


「芥さん!鹿島さん!」


「「んあぁ?」」


互いに話し出そうとした瞬間に真に声をかけられて変な声が喉から出る。

そして真の顔を見る事で驚きの表情に変わる。


「あ、荒鐘さん?!何故ここに!!ここは貴方のレベルで来ていい場所ではないし来れる場所でもないはず!何故!」


「そうだぞ坊主ここら辺には最低でもCランク相当のモンスターがいた、つい先日までレベル1だった人間なから所じゃねぇ。危ねぇからもっと後方で戦ってレベル上げでもしろ!」


2人は真を心配し怒った。

そんな2人を見て呟く


「アグリード」


バチッ


ゲートが開く

そこから鎧姿のアグリードが出てきてゲートを閉じると膝をつく。


「忘れましたか?俺にはこのアグリードともう1人今はここにいませんが超がつくほど頼もし過ぎる護衛がいます。ここに来るまでにアグリードに死角への目の役割をしてもらいモンスター安全かつ迅速に殺しレベルを上げてきました。露払い程度は出来るかと」


「露払いと言ってもモンスターの勢いと量、質から考えてもA以上は確定でもしかしたらSランク相当だぞ?無理だ……」


「こいつが…います!」


指を指した先には当然アグリードがいた。

膝をついたまま口は開かない。


「本気でやばくなったら助け貰いますから大丈夫ですしデルガ、もう1人の護衛に頼めば1人でも攻略できます……らしい、です」


ボソッと発せられた真の言葉を聞かなかった事にする。


「提案があります」


「「提案?」」


「北東にいる紅葉さんと合流してそのままダンジョンを攻略します。無論それだけでは危険極まりないので俺がここに来るまでに倒したモンスターからドロップしたアイテムを出来る限り装備して能力を底上げしてからです」


アイテムボックスの中から自身の武器である《紫紺の短剣》と《毒鳥の羽剣》以外の全てのアイテムを地面に並べる。


「《耳飾り》系や《ネックレス》系、《指輪》系は小さく嵩張らないので数多く装備できます。途中ハイオーガを偶然倒した時にドロップした《鬼将の魔魂》という名のアイテム。これは絶対に魔法系ハンターである芥さんが持っていて下さい。必ず役に立つ筈です」


《鬼将の魔魂》を受け取った芥は手に取るだけで分かるその力に驚愕していた。


「魔法耐性 : 50%up、魔法効果: 100%up?!」


「鹿島さんはこれです」


並べられた中から2つで1セットの長剣を渡す


「どのモンスターからドロップしたヤツか分かりませんが同じ武器なのできっと鹿島さんの役に立つはずです」




2分で芥と鹿島は装備を厳選した。

不足を感じていたのか邪魔にならない様に出来る限り装備をする。


そのまま3人は頷きあうと合流場所である北東へと駆け出す。





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