第11話獅堂の決着



「ふっ!……はぁ!!」


獅堂が数分前に真がやった動きをステータスが低いながらトレースする。

この数分間でモンスターの遭遇にも恵まれデフォルメナイトを3体も倒している。


「はぁ…はぁ…、結構疲れるんだなこの動き」


「最適解じゃなくて安全マージンを多く取った動きだからね疲れない動きならギリギリで避けたあともたついた所で一気に首をスパッと行ってやればいい。だけど危ないからやるならもう少し実践経験を積んでからだな」


「しばらくレベル20はお預けかぁ……」


「そう簡単にレベル上がるって考えは捨てなきゃね」


「目指せレベル10〜〜」


おーーーと手を上げる獅堂。

水分と携帯食料を少し口の中にいれ休憩する。


「言い忘れてたけど神殿系ダンジョンはドロップが絶対出る代わりにボスがやばいんだ」


「やばい?数が多いとか?」


「いや、数で攻めるんじゃなくてワンランク上のボスで来るらしい。ここはEランクダンジョンだけど出るボスはDランク相当って事になるね」


「今じゃ無理ゲーだわ」


「Dランクの基準は20あたりからだからまだまだねぇ」


2人は獅堂のステータスを共有して呟く


ステータス


名前:麻倉 獅堂  レベル:5


HP : 62/62


MP : 23/23


筋力 : 24 体力: 15


俊敏: 6 知力 : 8


感覚:7 器用: 11


Next Exp 55


武器 : 魔鉄の短剣 サブ : サバイバルナイフ


スキル : / / /



「あ〜スキル手に入らないかなぁ」


「取り敢えず後5分休んだらまた探索を再開しよう」




「少し早いけど休憩切り上げるか!もう殆ど疲れてないし、早くレベル10まで上げたい!レベル10からはアイテムボックスだっけか?それが手に入るんだからな!」


「確実に貰えるからダンジョン探索には持ってこいだよ、これが無かったら人類のハンター平均レベルはずっと低かっただろうな」


獅堂は立ち上がると水分を一口含み真のアイテムボックスの中に入れた。


「わりーな」


「仕方ない誰でも通る道なんだから」


(俺はこの短剣の持ち主をデルガが倒したから経験値が僅かばかり入って来た。その僅かな経験値でもレベルが23まで上がらのだから恐ろしい)



真達は探索を再開してしばらく歩く。


「あれ?デフォルメナイト見かけなくなったな。他のハンターが狩ったのかな?」


「便利スキル今すぐ欲しいんだけどなぁ」


「お前キャラ変わってない?普段の陽キャぶりはどうしたよ」


「アイテムボックスなんて便利スキルあれば出掛けて財布すられる心配もないんだぜ?!早く欲しいに決まってる!!」


「い、意外と思考が庶民的なんだな」


「陽キャも庶民」


「……格言かよ」


騒がしくしていると神殿の奥から複数のガシャガシャという音が聞こえて来る。

恐らくデフォルメナイトがまとまって来たのだと真は考える。


「獅堂にはまだ複数厳しそうだから俺が他処理するまで一体相手しててくれるか?」


「正直大助かりな提案だな。ポーション買ってるとはいえ怪我はしたくないし」


真は紫紺の短剣を獅堂は魔鉄の短剣を構える。


「……違うの来た」


「じゃあなんなんだ?」


「デフォルメナイトと同じランクだけど1つ上の強さをもつナイト型モンスター」




姿を現したのはデフォルメされた見た目のナイトではなく中学生高学年程度の背丈のナイト型モンスターだった。


「ちなみに名前は?」


「上から6番目の力関係だからシクスィナイト。あとデフォルメナイトと違って言葉は話さないけど声は出るから驚くなよ。獅堂のレベルでも調べた限りではなんとか対応出来るらしいから」


「分かった!」


真は持って来ていた小石を掴み無造作に投げる

投げられた小石は5体の内4体に命中し、ヘイトが真に集中する。

都合よく獅堂の相手に1体残りホッとする。


「こっちだこい!!」


離れた位置に4体のシクスィナイトを誘導する。




獅堂も真とは反対の位置に誘導して自身の敵と短剣を構え対峙する。


「ふぅーーー………来い」


「ルルルァィァ!!」


シクスィナイトは剣を振り上げる。

獅堂はデフォルメナイトにする戦法と同じ動きをする。

剣を振り上げると同時に駆け出す、剣が頭上に近づくと素早く斜めに跳んで避ける。

同じように剣を地面に食い込ませたシクスィナイトを見て獅堂はニヤける。


(強さは上でも動きが同じなら……?!)


「ルィァアァァ!」


片手を離す。

デフォルメナイトは剣を抜く事ばかりに集中していたがシクスィナイトは違った。

左手だけを離し獅堂に向け裏拳を最短で放つ。


ガキィイィィィン


鎧の金属部分である小手と魔鉄の短剣が衝突して高い金属音が周辺に響く。

短剣が弾かれ獅堂の胴体の前に何も守る物がなくなる。

シクスィナイトはもう片方の右手も離し獅堂の腹に一撃を入れた。


「ごほっっ?!?!」


吹き飛ばされながら神殿の床にバウンドする。


「ゴホッゴホッ……やばっ!」


剣を抜き終わったシクスィナイトがまた斬りかかってくる。

地面を蹴り飛ばしすんでの所で剣を避ける。

また剣が地面に埋まるが直ぐを剣を離して拳を放ってきたが獅堂は短剣でしっかりガードする事に成功した。


(よし!力自体はビックリするほどじゃない!しかもよく見たら刃の部分に当たった小手が切り裂かれてる!修復もしていなって事は攻撃さえ当てれば……余裕で勝てる!)


シクスィナイトが剣を拾い構える。

対する獅堂も短剣を構える。


数巡睨み合う獅堂が仕掛ける。

また同じ様に剣を振り上げる様子を見て獅堂は笑う。


「鎧が斬れるなら腕ごと落としてやる!!!」


振り下ろしたと同時に跳躍せずに側面に回り込む。

シクスィナイトはまた獅堂が跳ぶと思っていたのか顔を上に向けかけていた。

だが跳躍せずに側面に回り込んだのに気付き驚いているのか鎧がガシャッと音を立てて固まる。


「ふっっっっ!!!!」


全力で短剣を斬りあげる。

短剣の刃が腕に当たる、一瞬抵抗を感じたが力を入れるとスッと刃が通り腕を斬り落とした。


「ルルルァィァ?!?!」


「腹痛かったよ!!!!」


念には念をいれて背後に回り込み首に短剣を滑らせる。

簡単に刃が通る。

首が胴体から離れると影が弾け鎧がガシャガシャと落ち消える。

そして残ったのはシクスィナイトが使っていた小手と勝利の余韻だった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る