第9話帰宅後のうっかり



「は〜〜……明日からどうしよう。あ、獅堂ともダンジョン潜る予定立てないとな」


家につく。

両親がダンジョンの事故で死んでから目の前のある家で響と2人で暮らしていた。

幸いマンションでは無い為思春期の女子が部屋無しという事が起こらなかったのは真としてはありがたかった。


(響に彼氏出来て家に来た時部屋が個人の部屋がないってなったら……目も当てられん。入れるつもりはないがな!!!!)


ガチャッ


「響ーーただ今〜」


「あ、お兄ちゃんお帰りなっ…………」


突然響が固まる。

クリッとした目が太平洋を横断しているのが如く泳いでいた。


「いや、お兄ちゃん達お帰りなさい……」


「達?」


引っかかる物言いだった。

わなわなと震える響の指は真の背後を示している。

そのまま振り返ると真も固まる。


「主どうか致しましたか?」


鎧姿ではない貴族って感じの雰囲気のラフ目の格好のデルガと、アグリードがそこにはいた。


「あ、や……」


(やっちまったちくしょーーーーーー!!!!2人に戻ってって言う事完全に忘れてるやん……!)


「か、彼女さんなの?」


「ブフォオォォ!!ゴホッゴホッ!違うそんなんじゃない!彼女だとしたら他の男一緒に連れてくるわけないだろ?!」


アグリードを指差す

ヒラヒラと響に向かって手を振る。

少し顔を赤らめて俯く。


「そうだね……その、お2人は泊まって行くの?」


「……その事で話がある取り敢えず上がるぞ?目立つといかん!」


デルガとアグリードをぐいぐいと家の中に押し込みドアを閉める。

靴を脱いで上がる真と響に2人は少し戸惑っている。


「あーーこの日本って国じゃ家の中まで靴は履かないんだ。……所でそれ脱げるの?」


鎧の一部であるグリーブを指摘する。


「主の国のニホン文化は少し変わっていますね」


「汚いかも知れませんがご容赦を」


脚に纏っていた魔力を解くとシミ1つない綺麗な足が4つ現れる。

デルガとアグリードもついでとばかりに肩部等に付いている鎧の一部も魔力を回収して解く。

どちらもピッチリとしたら服を着ていた為そのスタイルが強調される。

デルガの無駄に大きすぎない胸は形も良く非常に整っている。対してアグリードはしっかりと全身に筋肉が付きながらも太さがなかった。

響は2人のその姿に抱いた第一印象は欠点がない美しさだった。


「うわっ綺麗な脚……しかもいい筋肉(ジュル」


「おい何ヨダレすすってんだ汚ねえ!」


「っとと。まぁいいわ2人いらっしゃい」


4人はリビングに行き真が響に2人の事情を詳しく話す。

真はハンターではないとはいえ身内の響にはこの事は言わなければと思った。


「へぇ、ハンターとして持ってるスキル?が発動してデルガさんとアグリードさん2人とたまたま契約出来て命を救われたと」


「そして末代までの主従関係を結んでいるのです。響様」


「さ、さまぁ?!様付けなんていいよぉ!響って呼んでよ!」


「いえ、主にの妹であるならばそれは私達には守るべき対象、主と同義なのです」


「様が無理ならさん付けでいいだろ?角もたたんから良くない?」


「それは名案です。響さんこれからよろしくお願いします」


「うんうん!よろしくね!あ、そうだ!ご飯沢山作り過ぎちゃったから一緒に食べよ!」


響は台所に立ちさっそくご飯の準備に取り掛かる。


「何か手伝える事は」


「いいよいいよ座ってて」


「ですが」


「デルガ……座ってて」


「は、はぁ」


「昔な手伝おうとして俺も台所に立ったんだよ。その時にな?へまして響にめちゃくちゃ怒られたんだ。それ以来響は台所に誰も入れなくなった」


「………主」


アグリードが真を見つめる


「……苦手分野もありますよ」


「慰めはいらないって〜〜」


真を見つめる瞳には同情心があった。





ご飯も食べ終わり食器洗いも完全に済ますとしばらく談笑をしていた。

響の子供の頃の話、真の子供の頃の話を2人にして笑い少し悲しんだりした。


1時間ほど話すと響が声を上げる。


「あ、そう言えばここに泊まるって言ってたけど場所どうしよう……」


「響さん私達2人は別に寝なくてもいいのですよ?ゲートの中に戻れば問題はありません。気を遣わなくても大丈夫ですよ」


「だーーめ!不眠は女の子美容の大敵なんだから!しっかり寝ないと駄目だよ!もちろんアグリードさんも!」


いきなりの名指しに少しだけアグリードは跳ねた


「私は美容に気を使っているわけでは……」


「アグトさん〜〜!」


「アグト?」


「アグリードだと長いでしょ?だから少し短くして可愛くしたの!あ、ダメだった?」


「いえ、寧ろ気に入りましたありがとうございます。響さんのお気遣いとても感謝いたします。ではお言葉に甘えても?」


「いいよ!じゃお兄ちゃんと準備してくるね!!」


「すまんな響が無理言って」


「響さんは元気があっていいじゃないですか」


「元気すぎるくらいだーー「お兄ちゃん早く来て手伝って!」呼ばれたから行くわ」



10分ほどで2人の寝る準備が整う。


「寝る場所響の部屋にデルガさん!お兄ちゃんの部屋にアグトさん!これでいいよね!」


「響さん待って下さい私は主を守ると誓ったのです。出来ればアグリードと寝所の交換を……」


「男女が一緒の部屋で寝て間違いが起きたらどうするの!!!」


「男女の間違いなど……起きませんよ(チラッ」


「おいこらデルガなんでこっち見た誤解されるだろうがアグリードお前もなんか言ってやれよ」


「HAHAHAHA!!」


「何爽やかに笑ってんだ?!響に誤解されたら」


「お兄ちゃん?」


「はいっ!!!」


真は一段低くなった響の声に思わず背筋が伸び直立不動になる。


「変態……」


「なんでよ?!?!」






このあと響の機嫌も直り真はしっかりと8時間の睡眠を取る事が出来た。





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