1章 小さな魔道士と恐竜 後編

「う…あ、光が収まった」

「あー、目が痛かったんだーな」

「ギャヂュー」

ワカーメン達はたわいもない話をしながら目を開けると、目の前に赤い騎士が立っていた。

「何者だ!お前!」

ワカーメンが尋ねると、騎士はこう名乗った。

「俺の名前は、ティラノ、魔法恐竜騎士ティラノだ!」

彼が名乗ると、ワカーメン達は後退りしながら、言い返した。

「何⁉︎ティラノだと⁉︎」

「なるほど、ティラノの考えはそれだったのか、レトに力を与えたのか」

ウィナールが納得したように言うと、レトはウィナールに気づいたのか、手を振った。

「お師匠様〜僕この鎧の装着者になりましたー!」

(レト!今は戦いに集中しろ!)

ティラノは厳しい言葉を言うと、レトはしゅんとした顔になりながら、ワカーメン達の方に向いて、指を指してこう言った。

「そうですね、では、さっそく!この魔法恐竜ティラノの鎧の力を見せてやる!」

「なーにが、見せてやるだ!サンドマウス!あんな鎧砕いちまえ!」

「ギャーヂュー」

ワカーメンの命令にサンドマウスは従い、レトに向かって、突進した。

(来るぞ!レト、魔法恐竜剣ティラノソードを使え、この剣は、小さな魔道士のお前が使えるように、私が、作った剣だ!)

ティラノが頭の中で、語りかけると、レトはティラノの言葉通りにティラノソードを抜いた、そして、突進して来た、サンドマウスの腹を攻撃をした。

「ギャ…ギャヂュー」

サンドマウスは汚い声の悲鳴を上げながら、腹を抑えていた。

「すごい…これが、ティラノが僕の為に作った、剣の力!」

(そうだ、すごいだろ!けど!ティラノソードの実力はこの程度じゃないぜ!レト!武器強化系に魔法は使えるか?)

「はい…簡単なのだったら」

ティラノの質問にレトは素直に答えた。

(そうか…だったら、ティラノソードに武器強化魔法を使え、そうすれば、ティラノソードの能力が発揮できるぞ!)

「ティラノソードの能力か、なんか面白そうだ、よーし!武器強化魔法ファイアー」

レトは、ティラノの言葉通りに、ティラノソードに炎系の武器強化魔法を使うと、ティラノソードのから炎が出たのだ。

「すごい!これがティラノソードの能力か!」

(そうだ!ティラノソードの能力それは、武器強化魔法を使えば、剣が強化されるのだ!これは魔道士のお前の為にティラノソードにつけた能力なのだ!)

それを聞いたレトは、すごいと思った、ティラノは自分の為に元々あったティラノソードを改良して、自分専用の武器にしてくれたからである。

「ありがとう!ティラノよし!決めるか!」

「ギャヂュー」

「何やってんだ、サンドマウス!お前の実力はこんなものか?違うだろ?」

ワカーメンが尋ねると、サンドマウスは首を縦に振った。

「わかってんだったら、さっさといけー」

「ギャヂュー!」

サンドマウスは汚い声を上げながら、レトに向かって、突進をしようとした、しかしレトは仮面の奥でニヤリ、と笑顔を作り嘲笑うかのように言った。

「へ、馬鹿なねずみだ、計画も無しに突進してくるなんて…」

そう言うとレトはティラノソードを構え直し、必殺技を放った。

「必殺!ティラノファイアークラッシュ‼︎」

「ギャーヂューウ⁉︎」

レトの必殺技は、サンドマウスの腹に命中した。

「ギャギャヂュー⁉︎」

サンドマウスは汚い断末魔が上げながら爆発した。

「うわーなんだよー、ワカーメン!サンドマウスやられちゃたんだよー」

「くそー仕方ない、ゴーブン!撤退だー」

「あっ!待ってくれよーワカーメン」

そう言いながら、2人は逃げて行った。

「ふー、なんとか、倒したー」

(ご苦労さんレト!)

ティラノはレトに声をかけると、レトは変身を解いた、すると、ウィナールがレトの所へやって来た。

「レト!」

「あっ!お師匠様ー」

レトは呑気そうに手を振った。

「レト!よくやった!」

「いえ!当然のことをしただけですから」

レトは照れ臭く答えた、すると、さっきまで、ずっと膝をついて、落ち込んでいた、賢者リックがやって来た。

「ウィナール!あの爆獣は何処に行ったのだ?」

「ああ、奴なら、レトが倒したぞ!お前が落ち込んでいる間にな!」

ウィナールが、リックに告げると、彼は納得したようにうなづいた。

「そうか、まぁ仕方ない事だがな…本来変身するはずの5人が死んだんだ仕方ないか、しかし、レト!よくやった」

リックがレトを褒めると、レトは照れ臭く頭をかいた。

「いや、当然のことをしたまでですよ、しかし、どうしましょう」

「ん?何がだ?」

リックが尋ねると。

「飛んでしまった、4つの魔法石のことですよ!」

「ああ、そうだな、何処へ行ったんだろうな、魔法石は…」

レト達は、魔法石の行方がわからないまま、途方にくれていると、ティラノが頭の中で語りかけてきた。

(それなら、大丈夫だ!)

「え、ティラノどう言うことだ?」

レトが尋ねると。

「それはな、私達魔法恐竜は、念力だけで、仲間の行方を知ることが、出来るからだ!」

ティラノは自慢げに言った。

「そんな、能力があったんだ、ティラノて!」

レトは驚いた様子で言った。

「レト、何を驚いてるだ?」

ウィナールが聞くと、レトはウィナールに説明した。

「お師匠様!ティラノには、念力だけで、仲間の行方を知ることができる能力があるらしいです!」

「なんだ、そんなことか…」

ウィナールは、ませた顔で言った。

「え、知っていたんですか⁉︎」

レトが尋ねると。

「そんなの、私とリックが作ったんだ当たり前だろ!」

「あっ、そうでしたね」

レトは思い出したかのように答えた。

「ところで、レト!ティラノのは、魔法石は何処へ飛んだか聞いてくれ!」

「わかりました!」

レトはウィナールの言葉通り、ティラノに、魔法石の行方を聞いた。

(魔法石の行方か、ちょっと待ってろ)

ティラノはレトに、そう言うと、念力で魔法石の行方を探った、そして、1つの魔法石のありかが、わかった。

(レト!1つだけわかったぞ!魔法石の行方が!)

「本当、ですか!」

レトが尋ねると、ティラノは自慢げに

(ああ、本当だ!)

答えた。

「何処にあるんですか?」

レトが尋ねると、ティラノは答えた。

(この里の離れたところに、ある城に、あるぞ!)

「離れたところにある城…ナーウィ城か、ありがとう、ティラノ!」

レトはティラノに礼を言うと、ウィナールに、魔法石の1つがナーウィ城にある事を伝えた。

「ナーウィ城か、よし!レト、ナーウィ城へ行くぞ!」

「はい!」

レトが返事をすると、ウィナールはテレポートの準備をしていた。

「レト、頼みがあるんだがな」

「何ですか?」

レトが尋ねると、リックは答えた。

「2つ目の魔法石が見つかったら、ついでに、3つ目4つ目5つ目の魔法石も見つけてくれないか?」

「わかりました!」

レトはリックの頼みを承諾すると、ウィナールのテレポート魔法でナーウィ城へ向かった。


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