第33話

「朝葉様、大変です! 隣町にゴーレムが2体現れました!!」

「え!? ゴーレムってレンガで出来てるモンスターだよね!?」

朝葉はトワロの声で目を覚ますと、慌てて装備を調えた。


トワロは、バンガローの外で待っていた。

「王からの依頼で、ゴーレムを倒して欲しいとのことです」

「うん、わかったよ、トワロ」

朝葉は頷いた。


隣町まで急いで行くと、町ではゴーレムが暴れていた。

「あぶない!」

町人たちが逃げ惑っている。

トワロは町人を逃がし、2体のゴーレムに向かい合った。


「行きましょう、朝葉様」

「ええ、トワロ」

トワロは炎の魔法を使って、ゴーレムを動きを止めた。

「急所の探索!」

朝葉はスキルを使って、ゴーレムの急所を探した。

「あった! お腹の中心が急所だよ!」


トワロはゴーレムに剣を向けた。

朝葉も、もう一体のゴーレムに向かって剣を差し向けた。

「えい!!」

トワロと朝葉は同時にゴーレムを急所を剣で突いた。

「ゴ、ゴゴゴ」

ゴーレムが倒れた。


「やったね、トワロ」

「ええ。朝葉様」

二人は倒したゴーレムを見ていたが、朝葉はゴーレムからレンガを外し始めた。


「朝葉様? ゴーレムのレンガなんて何に使うんですか? 食べられませんよ?」

「わかってるよ、トワロ。レンガで、かまどを作ろうと思ってるの」

「かまど、ですか?」

「うん」

そう言うと、朝葉は2体分のゴーレムのレンガを袋に入れ、バンガローに持ち帰った。


バンガローに着くと、庭の隅にゴーレムのレンガでかまどを作った。

「これで、ピザも焼けるし、バーベキューも出来るよ」

「ピザ? バーベキュー?」

トワロはまた分からない料理の名前が出てきて混乱した。


「とにかく、美味しいものがまた作れるって事だよ」

朝葉は嬉しそうに言った。

「朝葉様はぶれませんね」

トワロはため息交じりに言った。


「それでは、私は王宮にゴーレム退治が終わったことを報告してきます」

「ありがとう、トワロ。お願いします」

朝葉はそう言って、出来たばかりのかまどをうっとりと眺めていた。

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