第34話
「おはよう、朝葉」
「セリスさん、おはようございます」
朝葉が朝食の片付けをしていると、バンガローにセリスがやって来た。
「あのさ、冒険者の館で依頼があったんだけど」
「うん」
「森の奥にシルバーウルフが出たんだって」
「そうなの?」
セリスは頷いた。
「それで、討伐依頼が出てて、引き受けて来ちゃった」
「そっか。じゃあ、倒しに行こうか」
朝葉は着替えて冒険に出かける準備をした。
「朝葉様、おはようございます」
「おはよう、トワロ! 今日は森の奥に出たシルバーウルフを倒しに行くよ!」
「分かりました」
朝葉の準備が終わると、三人は森の奥に移動した。
森の奥は薄暗くてジメジメしていた。
「あ、足跡がある」
泥の表面に犬の足跡のようなものがついていた。
「あの洞窟の中につづいてますね」
トワロが先頭を歩いた。
「がおおおおっ」
「居た!」
朝葉達は身構えた。
洞窟から、シルバーウルフが出てきた。
一匹だけだった。
「さあ、行くよ!」
朝葉は剣を構えた。
「急所の検索!」
朝葉はスキルを使って、シルバーウルフの急所を見定めた。
「よし! 胸元が急所だよ!」
そう言って、朝葉はシルバーウルフに剣を向けた。
朝葉の剣先がシルバーウルフの胸元に刺さった。
「えい!」
朝葉は剣に力を込める。
「ぐおおっ」
シルバーウルフが倒れた。
朝葉は解体のスキルで、シルバーウルフを捌いた。
「レバー以外の内臓は置いていこう」
そう言って、朝葉は土を掘り返し、シルバーウルフの内臓を埋めた。
朝葉は食材袋にシルバーウルフの肉とレバーを入れ、カバンに毛皮をしまった。
「さあ、帰ろう!」
朝葉達は森を後にして、バンガローに帰っていった。
バンガローに着くと、朝葉はシルバーウルフの肉を一口サイズに切った。
三人分の肉を取り終わると、残った分は冷蔵庫に入れた。
「今日は、ピザの用意をしていたから、シルバーウルフの照り焼きピザにしよう!」
「ピザ? 何だそれは?」
「小麦粉を練って発酵させた生地をのばして、トマトソースを塗って釜で焼いた料理だよ」
「へー」
セリスはちょっと分かっていないという表情だったが、朝葉は調理を続けた。
この前作ったゴーレムのかまどに火を入れる。
「朝葉さま、かまどの火加減は弱めで大丈夫ですか?」
「うん、トワロ。火加減お願いね」
朝葉は、甘辛い照り焼きソースをシルバーウルフの肉に絡めてつけ込む。
そのあいだに、トマトとチーズを切って、一枚目のピザを作った。
そして、味のしみたシルバーウルフの肉を使った2枚目の照り焼きピザを作った。
「さあ、かまども温まってるし、焼くよ!」
朝葉は二枚のピザをかまどに入れた。
すこしの時間で良い匂いがしてきた。
「出来たよ!」
朝葉は焼きたてのピザ二枚をテーブルに置き、それぞれを6等分にした。
「それじゃ、いただきます!」
「いただきます!」
「いただきます!」
トワロが一口、照り焼きピザを食べた。
「甘塩っぱくて美味しいです。シルバーウルフの固めの肉を噛むと味が染み出てきます」
「うん、美味しいね」
セリスも笑顔になった。
「こっちも食べてみて?」
「トマトとチーズのピザはさっぱりしていて、トマトの甘みが心地よいですね」
「うん、ちょっと酸味もあって美味しい」
「良かった」
三人は焼きたてのカリッとしたピザをハフハフと頬張った。
「ごちそうさまでした」
「かまどって凄いんだね」
セリスの言葉に朝葉が答える。
「うん。また別の料理も作れると思うよ」
トワロが言った。
「それでは、毛皮は冒険者の館に置いてきましょう」
「うん、おねがい。トワロ、ありがとう」
「報奨金は、また次に来たときに渡せばよろしいですか?」
「うん。トワロ、預かっておいて」
朝葉はそう言うと、かまどの片付けを始めた。
「それじゃ、またね」
朝葉はトワロとセリスに手を振った。
二人はバンガローを後にした。
「ピザ、美味しく出来て良かった」
朝葉はかまどの片付けを終え、大きくのびをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます