第23話
「朝葉、また海に魔物が出たんだ」
朝、セリスが慌ててバンガローへ来た。
朝葉は着替えると、セリスに言った。
「セリスさん、大丈夫でしたか」
「ああ、今はまだ被害者は出ていない」
セリスはそう言うと、水を一杯もらって飲み干した。
「じゃあ、モンスター退治に行きましょうか」
朝葉は言った。
「お願いできるか?」
セリスがそう言った時、ドアがノックされた。
「おはようございます、トワロです」
「おはよう、トワロ。良いところに来たよ」
朝葉はにっこりと笑った。
「今日はどうしたんですか?」
「ダイオウイカが出たんだ」
セリスがトワロの問いかけに答えた。
「イカですか? じゃあ、フライが作れますね」
朝葉は目を輝かせて言った。
「それじゃ、早速倒しに行きましょう」
朝葉がそう言うと、セリスとトワロは頷いた。
バンガローを出て、海辺に向かう。
海辺の街はざわついていた。
ダイオウイカが現れて、漁に出られないと、漁師達が嘆いていた。
朝葉達は船を借り、漁師に案内を頼んだ。
そして、ダイオウイカの出るという領海に向かった。
「船の上はぐらぐらしますね」
朝葉がそう言うと、漁師は頷いた。
「気をつけろよ! 勇者殿」
その瞬間、船が大きく揺れた。
「ダイオウイカだ!」
セリスが叫んだ。
「行くよ!」
朝葉はそう言うと、船に向かってのびたダイオウイカの足を切り落とした。
ダイオウイカはまだ船に絡みついている。
セリスが海に潜り、銛でダイオウイカの急所を突いた。
ダイオウイカは暴れた後、静かになった。
「やったね、セリス」
「ああ」
ダイオウイカを船の上に引き揚げた。
5メートルはありそうだ。船の上はダイオウイカで一杯になった。
朝葉たちは漁師に言って、村に戻った。
朝葉は村に戻ると、ダイオウイカを解体した。
三人では持ちきれないほどのダイオウイカの身が取れた。
村人達は朝葉達に礼を言った。
「いいえ、当然のことです。お礼なんていりません」
朝葉達はそう言って、バンガローに帰っていった。
バンガローに戻ると、朝葉はダイオウイカの身を適当なサイズに切り分けた。
そして、身の多くは冷蔵庫にしまわれた。
「さて、フライにしよう」
朝葉はそう言うと、三人分のダイオウイカを一口大に切り分け、隠し包丁を入れた。
ダイオウイカに塩胡椒で下味をつけ、粉をはたき、熱い油にいれる。
じゅう、といい音がした。
「火は通しすぎないように気をつけないと」
そう言って朝葉は真ん中が少し柔らかい状態で、フライを油から上げた。
フライをお皿に盛り、お皿の隅に塩をもって、テーブルに並べる。
「いただきます」
三人はそう言って、揚げたてのダイオウイカのフライを食べた。
「ダイオウイカが甘くて美味しい」
「柔らかいですね」
「火加減、丁度良かったね」
三人はすぐに食べ終わってしまった。
「いつもありがとう、朝葉」
セリスがそう言うと、トワロも頷いた。
「いいって、ひとりで食べるより、三人で食べた方が美味しいし」
そう言って、朝葉は微笑んだ。
「残ったダイオウイカはどうしようかな?」
朝葉は一人、頭を悩ませていた。
騎士のレベル上げについては、また意識の外におかれていた。
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