第24話
朝、バンガローにトワロがやって来た。
「朝葉様、隣の町でケンタウロスが暴れているそうです」
「そうなんだ、じゃあ、倒しに行こうか」
朝葉はトワロにそう言うと出かける準備を始めた。
「ケンタウロスは賢いですよ」
トワロが言った。
「うん、分かった」
朝葉は頷いた。
「おはよう、朝葉」
セリスはドアを開けて、バンガローに入ってきた。
「あ、セリスさん。おはようございます」
朝葉は顔を上げて、セリスの方を向いた。
「今日は何するんだい?」
「隣町までケンタウロスを倒しに行こうと思っています」
「ケンタウロスかい? 結構強いぞ」
セリスは心配そうに言った。
朝葉はちょっと考えてから答えた。
「でも、三人いれば大丈夫でしょう」
そう言って、朝葉は装備を調えた。
「さあ、行きましょうか」
「はい、朝葉様」
「うん」
三人は隣町まで歩いて行った。
しばらく歩くと、隣町に着いた。
辺りを見渡すと、家が崩れ、人が倒れている。
「ケンタウロスに、やられた。お前たちも逃げた方が良い・・・・・・」
怪我をした人が、朝葉たちに声をかけた。
「いいえ、ケンタウロスを倒しに来たんです」
朝葉は胸を張って答えた。
「あの辺り、あやしいんじゃないかい?」
セリスが指を指した。
建物の奥から、埃が舞っている。
朝葉達がそこに近づくと、奇妙な声が聞こえた。
「グルルルル」
「ケンタウロスです!」
トワロが叫んだ。
朝葉とセリスは武器を構えた。
「ガオオオオ!!」
ケンタウロスが三人に襲いかかってきた。
セリスは眠りの歌を歌った。
ケンタウロスの動きが鈍った。
「朝葉様!」
「うん!」
朝葉は動きの止まったケンタウロスに解体のスキルを使った。
ケンタウロスは肉と骨、皮に解体された。
「人型の部分は、解体しなかったよ」
「そうですね、朝葉様」
朝葉達はケンタウロスの遺体を、町外れの空き地に埋めた。
「ありがとうございます」
街の人々が感謝の声を上げた。
「いいえ、困ったときはお互い様です」
朝葉達は照れて笑った。
「それじゃ、帰ってステーキ作ろう!!」
朝葉は言った。
「ステーキですか?」
トワロが訊ねる。
「うん」
セリスはちょっとひるんだ。
「ケンタウロスはちょっと食べるの気が引けるな・・・・・・」
三人はバンガローに帰った。
朝葉は良く熱したフライパンで、三人分のステーキを焼いた。
塩胡椒で味を調える。
部屋の中に肉が焼ける良い匂いが立ちこめる。
「さあ! 出来たよ!!」
朝葉はトワロとセリスに声をかけた。
二人はお皿を受け取ると、朝葉に言った。
「いただきます」
「うわ、肉汁があふれてくる」
「肉の周りが香ばしくて、美味しい」
トワロとセリスはパクパクとケンタウロスのステーキを食べた。
遅れて朝葉もステーキを食べ始めた。
「ごちそうさまでした」
「うん、美味しかったね」
「ケンタウロスは珍しいので、こんな機会はあまりないかも知れませんね」
トワロが言った。
「冒険者の館には、私から報告して起きます」
トワロはそう言うとバンガローを出て行った。
「じゃ、私も帰るね」
そう言って、セリスも家に戻っていった。
朝葉は残ったケンタウロスの肉を塩漬けにした。
「今日も美味しかった」
朝葉は今日も満足していた。
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