第21話
「おはようございます、朝葉様」
トワロがドアの外から声をかけた。
「おはよう、トワロ」
朝葉はパジャマのまま、扉を開けた。
トワロは家に入ると、レストランの椅子に腰掛けた。
「ちょっと待っててね」
そう言って、朝葉は二階の部屋へ移動し、身支度を調えた。
「おまたせ、トワロ」
トワロはにっこりと微笑んだ。
「昨日はお疲れ様でした、朝葉様」
「うん、ちょっと緊張したけど、女王様に喜んでもらえたよ!」
「それはよかったです」
離していると、ドアがノックされた。
「おはよう、朝葉」
「セリスさん! おはようございます」
ドアを開けると、セリスが少し困った顔をして立っていた。
「朝葉、助けてくれるかい?」
「どうしたんですか? セリスさん」
「それが、家の近くの海で人食い鮫が出てるんだ」
「そうなんですか?」
朝葉はそう言うと少し考えてから言った。
「倒しに行きましょうか!?」
「そうだな!!」
朝葉の言葉にセリスが答えた。
「そうですね、近隣の者も困っているでしょうし」
トワロはそう言って、朝葉を見た。
「それじゃ、早速行きましょう!」
三人は、セリスの家に移動した。
「ここからは私が案内するよ」
朝葉とトワロは、セリスについていった。
「ここだよ」
そう言うと海を指さした。
朝葉はバンガローからもってきた角ウサギの生肉を海に放り投げた。
すると、3メートルは有りそうなサメが寄ってきた。
「行くよ!!」
朝葉は剣を構えた。
セリスは銛をサメに向かって投げる。
命中した。
水際で暴れるサメに、朝葉はとどめを刺した。
「さあ、解体するよ!!」
「はい」
朝葉はサメを解体すると、ヒレと肉を袋にしまった。
「さあ、フカヒレと、サメのムニエルを作るよ!」
朝葉が元気よく言うと、トワロが答えた。
「それでは、バンガローに戻りましょう」
セリスは銛を片付けながら言った。
「私はお昼頃にお邪魔するよ」
朝葉とトワロはバンガローに戻った。
「さあ、今日は簡単だよ」
そう言って、朝葉はサメの肉を切って、粉をまぶしてバターで焼いた。
香ばしい匂いが部屋に立ちこめる。
ヒレは下処理をして、レストランの隅に干した。
これは保存食にするつもりだ。
トワロは朝葉の手際の良さに感心している。
「出来ました!! 人食い鮫のムニエルだよ」
朝葉はトワロの前に、ムニエルの乗った皿を置いた。
そして、自分の前にもムニエルを置くと、言った。
「いただきます!」
「いただきます」
「美味しい!」
「香ばしいですね。身はふかふかしてジューシーですね」
朝葉とトワロが舌鼓を打っているとセリスがやってきた。
「こんにちは」
朝葉はセリスの分のムニエルを焼くと、席に案内した。
「美味しいね、朝葉」
運ばれてきたムニエルを食べて、セリスは上機嫌だった。
「レストラン、やるんだって?」
セリスの言葉に朝葉が答えた。
「一週間に一日だけね」
「そうなんだ」
「やっぱり、やってみると準備と片付けが大変だったからね」
朝葉はそう言って肩をすくめた。
セリスとトワロは、食事を終えると帰って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます