第9話

「おはようございます、朝葉様」

「おはよう、トワロ」

朝ご飯に果物を食べていると、トワロがやってきた。


今日は、マンドラゴラ退治の日だ。

街道は海辺の街道と言うことで、セリスさんの家から割と近い場所だった。

「それでは、準備はよろしいですか? 」

「ちょっと待って」

私は、自分よりも大きな袋をたたんで鞄に入れた。


「朝葉様、まさか・・・・・・? 」

トワロが不安そうにのぞき込む。

「うん、マンドラゴラを持って帰ろうと思って」

私が当然のように言うと、トワロは・・・・・・やはりと呟いて頭を抱えた。


私たちは城下町を通って、セリスの家に向かった。

セリスの家につくと、もう彼女は防具を装備して家の前に立っていた。

「おはよう、トワロ、朝葉」

「おはようございます、セリス」

トワロは言った。私もおはようございますと言った。


「街道はここからちょっと歩いたところだな」

セリスさんはそう言うと歩き出した。

背筋が伸びていて、モデルさんみたいで格好いい。

女王様と言い、トワロと言い、セリスさんと言い、この世界は美男美女しか居ないんだろうかと、私は思った。


「気をつけて下さい、そろそろです」

「はい、トワロ」

私は森で戦いの練習をしたけれど、本番の戦いは初めてだ。

気が張り詰める。

「いたよ、結構いるね。30体だっけ」

「はい」

セリスさんは銛を背に背負ったまま、トワロに話しかける。


「私が眠りの歌を歌って、マンドラゴラを眠らせる。そのあとトワロと朝葉がとどめを刺す」

「はい、分かりました」

「行くよ」

セリスさんはマンドラゴラの集団に近づくと綺麗な声で不思議な歌を歌い始めた。

「朝葉様、歌を聴いてはいけません」

「ふえ? 」

私は少し眠くなっていた。しかし、トワロの言葉で自分の頬をたたき目を覚ました。


「行きますよ」

そう言って、トワロがマンドラゴラを切り倒した。

私はマンドラゴラを注意してみると、赤い光が見えた。

剣の先でそこを刺す。するとマンドラゴラはぐえ、と小さな声を上げて絶命した。


「急いで、歌は体力も魔力も使うから長くは持たないよ」

セリスさんがそう言ったので、私もトワロも急いでマンドラゴラを駆逐していった。

マンドラゴラは眠っていて、すべてを殺すという叫び声を聞かずにすんだ。

私は、マンドラゴラをすべて倒したのを確認すると、それを持ってきた袋に詰めていった。


「朝葉、それどうするんだ? 王宮に持ってくのか?」

セリスさんに聞かれて私は頭を振った。

「これで料理を作るんです」

「料理!? 」

私の言葉にセリスさんが驚いた。


「いつものことなんですよ」

トワロがセリスさんに言う。

「それじゃ、ウチに帰りましょう」

私がそう言うとセリスさんは興味深そうに言った。

「面白そうだな、ついていって良いか? 」

「はい、どうぞ」


こうして無事任務を終えると私たちは森のそばのログハウスに戻ることにした。

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