第7話英雄side1*
話は少し遡る。
ダンジョンに入った英雄4人は鋭気に満ちていた。
人を襲う魔物を倒す。
まさに正義の味方に相応しい行動である。
ダンジョンから魔物は出ないので入って来た人間を襲っているだけなのだが。
誰だって自分のテリトリーに殺気を立てて入られたら攻撃ぐらいするだろう。
人間だってナイフを持った男が家に侵入してきたら防衛位する。
立場を逆に考えたら分かりそうなものなのだが…。
残念ながら英雄4人たちにソコ迄の頭は無かったらしい。
ゲーム脳の弊害だろう。
魔物を狩る事。
それを当たり前に思ってしまう精神構造を令和の時代、ゲームをしている、漫画を読んでいる、アニメを見ているものなら年代関係なくソレを受け入れるだろう。
だが現実世界では、魔物は生きている生物なのだ。
データで出来た存在ではない。
「凛様、あちらにゴブリンが居ます。魔術で一掃して下さい」
「了解だよ、ファイヤーボール!!」
杖の先端から物凄い大きさの火の塊が出現し、ゴブリンに襲い掛かる。
「「「「「「「グギャァァァァァァァァァァッァァッッ!!!!」」」」」」
断末魔の悲鳴が上がる。
肉の焼ける匂いが漂って来る。
それは食事のときに肉を焼く匂いと酷似していた。
数十匹のゴブリンが悶え、焼け焦げて地に伏した。
「素晴らしい!次は炭になるまで熱量を上げましょう!」
死体が転がっている。
焼け焦げたゴブリンは人間の死体と酷似している。
臭いはまだ漂っている。
今は焦げ臭い。
焼き過ぎた肉の匂いだ。
勿論死体が消えたりはしない。
何故ならコレは現実だから。
データの魔物の様に姿を消したりしない。
アイテムをドロップすることもない。
ただ死体があるのみだ。
ソレを見て、ようやく凜は己が生き物の命を奪ったのだと自覚した。
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