十六頁目 適合者偽創語説明会

「七つの大罪、ねぇ……イマイチ理解出来てねぇんだよなぁ………」


王の問いの答えを聞いた陽也は、朧気にしか覚えていない言葉の詳細を掘り起こすのに躍起になっていた。

が、おつむの足りていない頭ではそれも時間の無駄だろう。

今頃陽也の頭の中には、某有名アニメのタイトルしか流れていまい。

人間に必要な感情。その答えは“七つの死に至る罪”……通称『七つの大罪』。

主に人間が犯罪を起こす七つの起因と説明した方が分かりやすいだろうか。


「人が犯罪を起こす七つの起因!それが七つの大罪だ!」


大きな声でどうも、王様。


「ところで……。 この中に七つの大罪全てを覚えている者はいるかな?」


「下の序列から、『色欲』『暴食』『強欲』『怠惰』『憤怒』『嫉妬』『傲慢』……ですよね?」


「うむ!その通りだ!!」


響華のその博識ぶりに、王は感心した様子だ。陽也や蓬戯の「さすが!」と言った羨望の眼差しも見える。


「そして偽人の目標である七つの大罪の感情片だが!これはそれぞれ七人の偽人が保有している!!」


王は右手を持ち上げ、パチンと指を鳴らす。すると台座に置いてあった映像投影装置が、宙に向かって何かの地形を模したホログラフを映し出した。

この地形には見覚えがある。そう、『この世界』の地形だ。

現代のプロジェクターのように平面な映像ではなく、しっかりとした立体の偶像を浮かび上がらせる偽創語のプロジェクターに、思わず「おー」と感嘆の声が四人の口から溢れ出る。

そんな四人の姿を見て、王は笑みを浮かべた。


「はは!すごいだろう? だが!これは『あちら側』から各領主に支給された特別製だ!!領内の魔導機械専門店で売られているような一般の映像投影装置ではない!!」


「……と言うと?」


「あぁ!これは”適合者“の偽人に、様々な説明をする為の機能が搭載されている! 例えば!今映し出しているように『偽創語』の地形を映し出したり!七つの大罪の感情片保有者、つまり『感情を継ぐ者達』の居場所をリアルタイムで確認したりな!!」


「そんな機能が………」


中々に便利な機能が備わっている。この世界を創った『あちら側』も、中々に用意周到だ。


--ふと気になった単語が一つ。


「失礼、聞きたいことがあるのですが」


「ん?どうした!」


「その……”適合者“とは一体?」


「おっと!説明が足らなんだったな!」


ハッハッハとこれまた豪快に笑った王は、「分からない単語があればすぐに聞いてくれ!随時答えるでな!」と補足し、説明を再開した。


「偽人と一言で纏めるが、偽人の中にもいくつか分類されていてな!その内の一つが“適合者”だ!」


「ちなみに、適合者の他には『一般偽人』『不適合者』……そして最上位に『感情を継ぐ者』。この四つに分類されている。」


「どれが上でどれが下かは……言わなくても分かるな?」というアイゼンの問いに、四人は頷く。

十中八九、下から『不適合者』『一般偽人』『適合者』『感情を継ぐ者』だろう。


「えっと~……その適合?とかってなんですか~?」


蓬戯は、その妙に間延びした声でアイゼンに聞く。


「あぁ。適合者は、感情を継ぐ者から感情片を受け取る資格を持った者の事を指す。」


実に分かり易く簡潔にまとめ、王に「少々お借りします」と断り、映像投影装置に向かって指を鳴らす。

王もやっていたという事を鑑みるに、指を鳴らすのが起動の合図のようだ。

やっぱり異世界の道具は一味違うなと変に感心する雪兎だったが、それも一秒に満たない刹那の時間。

宙に向かって白い画面が映し出され、全員の注目はそっちに向かう。


「まずこの偽創語に転送される上で、患者全員に対して偽創語への適性テストが行われる。そしてそのテストで合格……つまり『適性あり』と判断されれば、晴れて治療が受けられるってワケだ。」


「テスト……すいません、全然身に覚えがないんですが………」


「何、君たちにも身に覚えがある筈だ。……それも、嫌と言うほどに。」


「……………?」


“嫌と言うほどに”……要はそれだけ経験している事の筈だが………そう言われても身に覚えが--


--まさか。


「ゆ、夢日……記………?」


「当たりだ。」


「なんっ!?」 「えぇ!?」 「嘘ぉ!?」


四人に走る衝撃。まさかあれがテストであったとは………


「夢日記によるテストは、明晰夢への適性……要はこの偽装語で活動出来るかを見極めるんだ。 ついでにどんな夢想が開花するのかもここで判明する。」


「おまけにもうひとつ教えると、ここに転生した時点で全員が監視されてるわ。でも詳細に記録されるのは適合者と感情を継ぐ者だけ……重要な感情片の譲渡が出来るのは適合者だけだもの」


「一体何が目的なんだ………?」


「それは俺らも分からない。ただの実験かもしれないし、神々の悪戯ってやつかもしれない。だが、今はこの実験まがいに付き合う他あるまい。」


しばしの静寂。何食わぬ顔でアイゼンが待っているのを見るに、話の整理をする時間をくれているのだろう。説明が上手い人だ。

せっかくの配慮を無下に出来ないので、雪兎は頭の中で話の整理を始めた。


まずこの世界は偽創語(グリリム)と呼ばれ、ここには人知の及ばない存在によって心になんらかの傷を持つ人間が多く招集されている。

そしてその人知の及ばない何かの目的は、恐らく心病患者……偽人(カバー)の治療。そしてその治療には『感情片』なる物が必要になる、と。

理屈については説明を受けていないが、つまるところ、人として必要な感情をカケラとして集める事で心の傷を埋め合わせる、いわゆる再コーティング作業をする、という事だろう。


「……まだ説明を噛み砕けてはいないだろうが、説明を続ける。随時整理の時間を与えるから、まずは説明を聞いてくれ。」


「はい」


「よろしい。ではまず適合者についてだが……これを見てくれ」


アイゼンがプロジェクターに向かって指を鳴らす。すると、偽人についての詳細が事細かにまとめられている表が映し出されたのだ。




『感情を継ぐ者』……一つの感情が起因で大きな心の傷が出来た偽人の総称。特定の感情のみが突出して人格に表れているため、特定の感情の感情片を生み出せる存在。尚、感情片の譲渡も行えるが、譲渡出来る偽人は『適合者』のみである。


『適合者』……感情を継ぐ者達から感情片の譲渡を許された偽人。一般偽人に比べて夢への適性が高い為、少なからず夢想と身体能力に補正が掛かっている。


『一般偽人』……現実世界の治療でもケア可能な大きさの心的外傷を負っている偽人。夢への適性は平均的である為、身体能力は現実世界のモノと大差ない。

感情片は自力で生み出す他なく、誰かから譲渡されることはない。


『不適合者』……傷が極めて微小であり、明晰夢の適性が低い偽人。偽装語にいる際は“夢を見ている”という感覚程度しか残らず、実際に起床すると現実世界に戻される。現実世界にいる際は微かに偽装語の記憶があるが、偽人以外の誰かに話そうとすると偽装語の記憶がスッポリと抜けてしまう。

夢想は開花せず、心に足りない感情片を少し獲得すればケアは完了する。





「感情を継ぐ者、ですか」


「あぁ、お前たち適合者が会うべき偽人だ。従って、こいつらについて知る必要がある。」


ここからが本題と言わんばかりに短く息を吐き、アイゼンがもう一度指を鳴らす。

すると今度は、映像投影装置が七人の名前が映し出した。



《払暁の堕王》リュツィ・ルキフィール・フェロ……傲慢


《天秤の調停者》ジェール・ライブラル……嫉妬


《零土の落涙》ベルベット・ティアース……憤怒


《酒呑の剣聖》孤暮 夜酔……怠惰


《放浪の帽子屋》忘時 旅兎……強欲


《虚飾の捕食者》ベルゼ・ヴァール・フェロ……暴食


《誘惑の代行人》ハシーシュ・ソラナ……色欲



「この七人が……感情を継ぐ者………」


「そうだ。それと、これから話す事全てをプリントアウトした資料も後ほど配布する。目を通しておけ。」


適合者に対しての手厚い対応。本当は今感謝を伝えるべきなのだろうが、今の雪兎に周りの音など入っていなかった。

原因は目の前に映し出された七人の名前の内の一つだ。


「忘時………」


「……?どうした?雪兎」


アイゼンの少し怪訝そうな顔が向けられる。隣にいる陽也たちからも心配そうな眼差しが向けられていた。


「えっ、い、いえ。なんでもありません」


「……そうか」


まだ訝しむような表情は崩れていないが、今は説明を進める事が最優先であることを思い出し、チラッとだけ雪兎に視線を向けると、再度指を鳴らした。


「今掲示した名前を持つ七人の偽人に会い、感情片を譲渡してもらうのがお前たち適合者の使命……必然的に、この国グラズスヘイムから出る必要があるワケなんだが………」


そこで一旦区切り、アイゼンは少しだけ疑問を含んだ視線を雪兎らに向ける。


「お前たち……闘技大会で優勝したんだってな?」


「ったりめーよぉ!」


「ほう?」


確かに勝ちはしたが、まだ正式に景品を贈呈されたワケではない。

つまり大量の金貨はもちろんのこと、近衛部隊隊長の権限も、国外無期限冒険権も与えられていない。

要は優勝したと証明出来る物がないのだ。

だから口を噤んでいたのだが、どう答えようか考える前に陽也が無鉄砲に公言してしまったのだ。

さぁ困った。


「そう断言出来る根拠はあるのか?」


案の定、アイゼンから絶対に出て来るであろう疑問が飛び出る。さて、陽也はどう答えるのか?


「あるぜ!」


馬鹿野郎。


「ちょ、ちょっと陽也!何勝手な事言ってるの!?」


「ん?」


「証拠なんてないでしょ!景品まだ貰ってないんだから!」


「景品?」


響華のごもっともの意見。後ろで蓬戯もひっきりなしに首を縦に振っている。

だが、陽也の口から飛び出たのは予想外の言葉だった。


「んなもんいらねぇだろ」


「はいぃ?」


未だに陽也の意図が掴めない。響華や雪兎、そして空気には敏感で察しがいい蓬戯でさえ、戸惑いを隠せずにいた。


「だーかーら、どう証明するって言うの!?」


「んなもん、そこにいるブラッド達に証言して貰えばいいやん」


「ッ!」


まさかとばかりに雪兎が勢いよく振り返ると、雪兎達の両脇にブラッドを始め、レイヴン、ルーサーが休めの姿勢で待機しているのが目に入った。


「な、なんでここに………」


「ここに誘導したのは俺達だ。第一、俺らが王城に居る時点で『近衛部隊』に所属しているという可能性は視野に入るはずだが?」


「それは………」


ルーサーに澄まし顔で正論をかまされ、なんだか気まずくなった雪兎は、サッと陽也に目を合わせる。


「陽也、お前分かってたのか?ブラッドさん達が近衛部隊だったって」


「あー……そういや、なんやかんやで言えてねぇもんな」


少しバツが悪そうに頭を掻くと、陽也は「実はな」と話を切り出した。





--話は遡る事、十数時間前。


「“我々”は……」


陽也がブラッドとの決勝に勝った後の救護室。それは、二人でレイヴンについて話していた時に起きた出来事。

ブラッドが畏まって体を向けると同時に放った一言が皮切りであったかのように、彼の背後からぞろぞろと灰色の外套を纏った集団が現れたのだ。


「おいおい、いきなりどうしたってんだよ」


「我々は“近衛部隊”の精鋭。四隊長が指揮している隊の隊員だ」


「……はぁ?」


突然の暴露。だが何故ここでその話を切り出したのか分からないし、それ以前になんでここに近衛部隊員がいるかが分からなかった。


「--なんだって急にそんな話すんだよ」


「今は質問に答える時間がない。手短に話すぞ。」


茶々を入れて考えを整理する時間を作ろうとした陽也だったが、ブラッドのすぐ背後に現れた銀髪の男は、刹那の間すらも許さなかった。


「いいか?これからここは地獄絵図のような戦場と化す。少しでも動けるようになったら逃げるんだ。」


「え、ちょっ--」


「そういうワケだ、ハルヤ。貴様の友人に関しては我々がどうにかする。だからすぐに動けるよう身体の回復に努めてくれ」


「だから何がなんだかわからねぇって!!」


騒音はご法度である救護室で、陽也の叫びが室内に響く。

その叫びに驚いたのか、その場にいた近衛部隊員の動きが、一瞬だけ止まった。


「……簡潔に言うぞ。」


陽也の意志に負けたのか、銀髪の男は僅かに嘆息すると口を開いた。


「我々が要マークしていた殺人鬼がこの大会に参加している。ヤツが姿を現すのはAブロック準決勝戦、それまでにヤツを抑える。 ただ、ヤツの夢想は環境に対しての干渉が激しい。それ故にヤツとの戦闘が始まれば大事になることが予想される……少なからず死傷者が出るだろうな。」


「なっ!?」


「ヤツの目的は裕福層に対する報復。ただ、金を人並みに持っている者はヤツにとって裕福層と認定される。つまる所、安くはない入場料を支払ってまでこの大会を見に来ている観客達は全員攻撃対象だ。 過去に何があったかは知らんが、周りが巻き込まれるのは絶対に阻止せねばならない。」


「……だからこんな大勢の精鋭が集まってんのか」


ようやく謎が解けた陽也は、顎に手を当て思案する素振りを見せる。


「そういうワケだ、お前も早く逃げれるよう休んでおけ。 時間はあまりないぞ。」


「…………」


言葉に詰まる陽也だったが、そんなことは気にも留めず、銀髪の男はブラッド以外の近衛部隊員を引き連れてその場を去っていった。





「--ってことがあったんだ」


「そんなことがあったのか………」


「まっ、結局ルーサーの指示を無視して雪兎んトコに行っちまったんだけどな」


事の顛末を話した陽也は、少し照れるようにして顔を背けると、鼻の頭を掻いた。


「……近衛部隊の指示を蹴るとは、どれだけ肝が据わっているヤツなのだと思ったがな。」


「でも、こーして全員生きてんだ。ひとまず保留にしとこうぜ?」


「何故貴様が提案するのだ?」


「別にいいじゃん?」


「………………」


能天気過ぎる陽也について行けなくなった様子のルーサーは、王の間全体に響くほどの大きなため息を吐いた。

この光景を前に、雪兎らのように苦笑する者と、アイゼンのように呆れた様子でルーサーのため息に続く者とで綺麗に分かれた。


--その直後だった。


「ヘイヘイ話は今聞かせてもらったぞぉ!」


『『!?』』


突如、王の間の扉を勢いよく押し開ける音がしたかと思うと、アイドル事務所のプロデューサーのような男がつかつかと足早にやって来たのだ。

その男は、呆然とする雪兎達を無視して玉座の前まで歩いたかと思うと、クルッと振り返って雪兎達と向き合った。


「やーおめぇら!闘技大会ごくろーさん!」


「………へ?」


唐突に見ず知らずの男から闘技大会のことを労われて困惑する雪兎一行。

その様子を見兼ねたアイゼンは、短いため息を吐くと件の男に話しかけた。


「オズワルド。今は適合者説明会の途中だが?」


「んなこたわーってるよ!だが、俺もコイツらに話さないけんことがあんだ。ちょいと3分くらい貸してけれ」


「……3分だからな」


「ほい来たぁ!」


オズワルドと呼ばれた男に一気に捲し立てられたアイゼンは、半ば諦めたように間を置くと、彼に3分の時間を与えた。


「んじゃ改めて。俺はオズワルドってんだ、名前くらいは聞いたことあるんじゃねぇか?」


「「「「オズワルド………」」」」


4人が唸り、導き出した答えはただ一つ。


「「「「って誰?」」」」


知っている、というニュアンスの言葉が返って来るとばかり思っていた彼は、思わず「だー!」と言ってコケてしまった。


「わーったよ!んじゃこれ見りゃ分かるかぁ?」


一向に気付く気配がない雪兎たちに痺れを切らしたオズワルドは、ポケットに入れていた右手を掲げた。


「ッ!?」


雪兎はその衝撃的な姿を見せられ、思わず息を呑んだ。

彼が掲げた右手。しかし、その右手は手首から上が欠けていたのだ。

同時に、雪兎は彼が誰なのかを悟った。


「闘技大会の司会者!!」


「よーやく気付きやがったか」


ハスの暴挙に巻き込まれて右手を跳ね飛ばされた人物と言えば、司会者くらいだろう。

何せ巻き込まれた人間の大半は命を落としてしまっているのだから。

彼はニカっと笑うと、右手をポケットにしまった。


「んで、その司会者様が来たってことは……言いたいことは分かるな?」


「景品の授与、ですね?」


「そうだ」


彼の言葉を継いだ響華に彼はグーサインを出した。


「まずは大量の金貨と国外無期限冒険権についてだが……これだ」


彼は内ポケットから白黒のカードを1枚……から扇状に素早く展開して4枚取り出す。

そして彼のドヤ顔がいい感じに苛立たせてくれるのだった。


「大量の金貨つっても、いつでも持ち運び出来るワケじゃねえからな。 そこで考えたのが、この金融管理札……まぁ分かりやすく言うとクレカだな」


「ほーん、考えたな」


「そうだろ陽也くん! んで、どうせならもう一個用途を果たせねぇかなって考えた結果、身分証明書にしようって考えたんだよ」


「でも身分証明書なら、私達には冒険者ライセンスが………」


「そうだろ?そこは俺も考えたんだ。だから冒険者ライセンスは名刺というか身分証明書に、この金融管理札はパスポートに、って分けといた。 だからグラズスヘイムから出る時に冒険者ライセンスとこの金融管理札を重ねて見せれば、無期限で冒険出来るってワケだ」


「なるほど……」


感心したようにオズワルドの説明を聞いていた雪兎は、その金融管理札を見ていた時に、一つ気付いた事があった。


「えっと……この『白黒』ってヤツはなんですか?」


「お、雪兎くん早速気付いたか! そう、そこからが本題なんだがな……」


「オズワルド、3分だ。」


「あと1分!」


「……許可する。」


「よし!」


流れるようなやり取り。俺でなきゃ見逃しちゃうね。

--とフザける陽也を響華が引っ叩く。


「あともう一つの景品、近衛部隊隊長と同等の権利。 最初はフツーに授与しようと思ったんだが……そろそろ動き始めた方がいいかなぁってね。」


「オズワルド……まさか!?」


珍しくアイゼンが驚いたような表情をする……だけでなく、カミラやシュトラーフェまでもが目を見開き、無感情の権化とでも形容すべきネイトですら、眉をピクリと動かした。王は「ほぉ……!!」と目を輝かせながら髭を弄っている。

そんなに驚くようなことなのだろうか?


「それで~、つまりはどういうことですか~?」


ナイスだ蓬戯。


「ま、平たく言うとだな……」


オズワルドはニヤリと笑うと、予想だにもしない言葉を吐き出した。


「近衛部隊の更に上を行く部隊……『感情奪還班 白黒(モノクロ)』の始動だよ」

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