第245話 織田信長25歳2

美濃国は周りを信濃国・飛騨国・越前国・近江国・伊勢国・尾張国の6国に囲まれている。


信濃国は甲斐の武田信玄が攻略しているが、武田信玄とは同盟中なので取り敢えずは安心だ。


まあ、絶対安心と言う訳ではないが、武田信玄は信濃平定により隣国上杉謙信との戦いが激しさを増し、上杉を名目上の主と仰ぐ関東諸国へ侵攻中である事から、美濃への本格的な侵攻は当分ないはずだ。


近江国は北近江の浅井長政と同盟をしているので、南近江の六角義賢は簡単には侵攻して来ないだろう。


伊勢国は国境を接している北伊勢を攻略し、尾張国は自国なので問題無し。


越前国とは国境が山岳地帯である事から、大軍の侵攻は難しい。


と言う訳で残る飛騨国だが、飛騨国を治めている姉小路良頼の嫡男である姉小路頼綱には、帰蝶の同腹の姉が嫁いでいて親族の関係にある。帰蝶の同母弟の斎藤利治と姉小路頼綱は、ほぼ同じ年で仲が良いとの事だったので、利治とその異母兄の斎藤利堯さいとうとしたかを通じて同盟を結んだ。


これで美濃国は差し当たり安定するので、合戦の被害の復興と次のいくさの為の戦力増強に励む事が出来る。


美濃国を攻略した事で、牢人達の仕官が殺到し、地方の城主や豪族達も連日恭順の意を示す為、解体前の稲葉山城に訪れているらしい。


「らしい」って他人事なのは、その対応を美濃国統括の内藤興盛と、吏僚りりょうの責任者である相良武任に任せているからだ。


まあ、報告はして貰っているので内容は確認している。その中で気になった城主が2人いた。


黒岩城主・仙石久盛と堀城主・堀利房。仙石秀久と堀秀政の父。


仙石秀久は、史実では織田信長に気に入られ、豊臣秀吉の最古参の与力になり、幾多の合戦で活躍し、秀吉の家臣団では最も早く大名に出世した。秀吉死後も徳川家康の信頼も厚かった武将だ。


堀秀政は、史実では信長の小姓・側近として奉行職を行うと共に合戦でも活躍し、荒木村重討伐、越前一向宗制圧の功績で長浜城主となり、信長の死後、秀吉の家臣としても活躍した武将だ。


仙石秀久は8歳で堀秀政も6歳の為、まだ元服前で近臣に入れる年齢ではないので成長したら近臣で鍛える事にした。因みに堀秀政の兄である堀秀重は26歳だったので近臣に登用した。


そして、伊勢国でも過去に領地を追われた者や、近隣諸国の牢人達が仕官を求めて殺到しているそうだ。


そんなこんなで美濃国と伊勢国では、大忙しの毎日を端で眺めていたある日。


「信長様、美濃と伊勢を攻略した事で吏僚りりょうの数が全く足りません。有能な者を採用したいのですが宜しいですか?」

と相良武任が相談しに来た。


勝手に増やせよ。と思ったが、ちょっと待てよ、手足となる吏僚の頭数だけ増やしてもダメだろうなぁ。これは頭になる優秀な人材を探しだした方がいいな。


「もっともだな。吏僚を積極的に雇用する事を了承する。後は、鳴海城家老の岡部隆景と桜中村城家老の右田隆次をここに戻せ」

と言って元大内家の文治派の武将二人を呼び戻す事を伝える。


「はい………」

武任の顔はまだ不足の様だ。


「それから、前田玄以にも内政を手伝わせる。それから伊勢で世話になった勝恵とか言う坊主も採用しろ」


「は、はい………」

ん、まだ不足か?


「後は………、まだ勘合貿易船はまだ出港していないので、策彦周良さくげんしゅうりょう沢彦宗恩たくげんそうおん快川紹喜かいせんじょうきにも手伝わせて凌げ。後は此方で探しておく」

僧侶達に当面の対応をして貰い、内政に明るい人材を忍者達に探して貰う事にした。


「有り難うございます」


良し、何とかなりそうだな。今後もどんどん領地を拡張して行くので、多めに採用しなきゃ駄目だなぁ。


その結果下記の優秀な人材を採用する事が出来た。


武井夕庵59歳、島田秀満40歳、

矢部家定43歳、長谷川秀一42歳、

毛利新介38歳、菅谷長頼37歳、

福富秀勝36歳、飯尾尚清31歳、

大津長昌41歳。


この9人は、みんな史実では織田信長の奉行職で活躍した者達だ。


当面は吏僚不足は解決すると思うが、今後も積極的に優秀な人材を探して、召し抱えたいと思う。

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