第223話 美濃国攻略出陣

美濃国に向けて進軍した俺達は、先ず美濃の東である東濃を攻略する軍を分けて出撃させた。


その軍の大将を伊達稙宗として、小牧山城の兵から森可成と5千人を預け、佐々成次の5千人、前田利久の5千人、犬山城代・池田恒興の2千人、小口城代・佐々孫介の千人と、参戦する為に駆け付けたジジイ達の約2千人の兵を加えて、合計2万人の大軍となった。


「稙宗、頼んだぜ」


「ははは、大船に乗ったつもりで任せておけ。東濃を席巻してやる」


「遠山氏の城は攻めるなよ! 内応して貰ってるんだから」


東濃の遠山氏は武田信玄の抑えだ。岩村城の宗主遠山景任は、遠山十八支城と言われる家臣を従えた東濃の豪族だ。


それが真田幸隆の調略で、丸々帰属して貰え事になっていた。美味しい話じゃないか。


「ははは、大丈夫だ。それぐらい頭に入ってるぞ」


「ささ、稙宗殿、いざ出陣ですぞ!」

秀敏大叔父がそわそわして稙宗を急かす。


「お~い、出陣はまだか~」

「さっさと行こうぜ~」

前田長定と大橋重長が出陣の準備を済ませて、遠くから稙宗に声を掛けた。


稙宗が来て良かったよ。あのジジイ達を纏めるのは面倒だ。まとめて稙宗に丸投げ出来たぞ。


「アニキ~、爺さん達の昔の自慢話とか!小言が煩そうなので、俺、この軍に入るのイヤっス」

池田恒興が文句を言ってる。


「ツネ、人生にはな!イヤでもやらなきゃいけない事があるんだ。頑張れ」


「ええええええ」


俺もイヤだけどね。


その後、俺達は美濃国の中濃に進軍し、木曽川を越えると伊木山に陣を敷いた。


ここで予定通り更に軍を分ける。


一つは斎藤道三を大将として、小牧山城の兵から木下藤吉郎と5千人を預けて鵜沼城うぬまじょうを攻めさせる。


二つ目は長野業正を大将として、小牧山城から丹羽長秀・河尻秀隆と5千人を預けて猿啄城さるばみじょうを攻めさせる。


ん? 小牧山城の5千人が残ったぞ。


「信長様、我々は予備軍で良かったのですか?」

内藤興盛が俺に尋ねる。


東濃は俺と内藤興盛で2万超の兵を連れて行くはずだったけど、爺さん達がいたから、稙宗に思わず任せちゃったんだよなぁ。


「あ、あぁ、良いのだよ。良いのだ」


山本勘助が俺をジト目で見ていた。

俺は知らんぷりをしている。


「おう、信長。暇だからこの辺りの城を落として来てもいいかな?」

津田監物が声を掛けて来た。


「何を言ってる。近くに城はねえよ」


「ねえのか! ん~、じゃ鵜沼城に行ってくらぁ! 鉄砲隊を連れてくぜ」


「おう、行ってこい」


ま、いざとなれば蟲もいるしな。


「よっしゃぁ!」

津田監物は嬉々として鉄砲隊のところへ行った。


「ドッカ行クノー」

「ドコドコー?」

「戦イテー」

「暴レテー」

元倭寇達も騒ぎ始めた。


「あ~、自斎! 倭寇達と一緒に行ってくれ!」

俺は鐘捲自斎を呼んだ。


「何処に行くんですか?」

「なんだぁ! やっと出撃かぁ! がはは」

鐘捲自斎を呼んだのに新免無二までついてきた。


「津田監物が暇だから鵜沼城に戦いに行きたいんだってよ」


「了解です。おう! 行くぜぇ!」

「おお、良いな。俺も行ってくらぁ。がはは」

鐘捲自斎が元倭寇達を呼ぶと、無二も行くき満々だ。


「戦いですかー」

「良イネー」

「行ク行クー」

「殺ッタルゼー」

「レベ上ゲ、サイコー」

辛五郎が許兄弟達を連れてきた。


「おう! 辛の字、みんな連れて来い! いくさに行くぜ!」

新免無二と鐘捲自斎は、元倭寇達を連れて鉄砲隊の元に行く。

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