第224話 鵜沼城攻城戦1
伊木山は標高173m。鵜沼城と猿啄城を眼下に望み長野業正と斎藤道三の戦いの行方を眺める。
まさに「高みの見物」! 意味が違うか。
大砲の轟音が鳴り響き黒煙が眼下に見える。まるで高層ビルの上から花火を見てるような感覚。
鵜沼城と猿啄城は美濃国と尾張国の国境沿いにあり、長年国境を守ってきた堅牢な城だ。
事前に調略を試みたが断られたので、実力行使をする事になったが、大軍でこの伊木山に陣を敷き、上から見られて大砲を撃ち込まれれば、かなり動揺してるはずなんだけどな。
降参していないところを見ると、まだ頑張るつもりの様だ。特に鵜沼城は天然の岩山に作った城だから頑丈なんだよなぁ。
兵糧攻めなんてまどろっこしい事はする気はない。斎藤道三と木下藤吉郎が攻め手が無くなれば、俺が空から襲撃するかな。
斎藤道三がどうしても駄目だったら、最後の手段で大蛇になるって言ってたから、それも楽しみなんだよ。
大蛇ってどのくらい大きいんだろう? わくわくしてきたぞ
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「あ~、道三殿。駄目ですね、大砲を撃って降伏勧告しても返事もない」
木下藤吉郎は頭を掻きながら斎藤道三に言った。
「ああ」
髭を撫でる道三。
「もう最終手段ですね。信長様は兵糧攻めは臨んでいません」
「そうだなぁ。大沢基康の奴が、こんなに頑固だったとは思わなかったぞ」
とその時………。
「お~い、まだ突撃してねえのか?」
と鉄砲を肩に担いで津田監物がやってきた。
「岩山の城に閉じ籠ってまるで亀の様に固まってましてねぇ」
と木下藤吉郎が両手の平を上からにして、打つ手が無い動作で答える。
「俺達が行ってやるか?」
鐘捲自斎も元倭寇達を連れて来た。
「え、何か手があるのですか?」
木下藤吉郎が目を輝かせて尋ねる。
「おうよ。山に籠って出て来ねえ海賊は海外にもいたよなぁ。辛の字」
鐘捲自斎は後ろを歩く辛五郎を見た。
「そうですねえ。臆病な奴らは、よく閉じ籠ってましたね」
辛五郎が答える。
「じゃあ、任せても良いですか? お願いします」
木下藤吉郎が鐘捲自斎に頭を下げる。
「おうよ。行くぞ!」
鐘捲自斎が手を開き前に振って、元倭寇達に城攻めを促す。
鐘捲自斎は散歩に行く様に気楽に鵜沼城に近付いて行き、元倭寇達は笑って雑談しながら
鐘捲自斎の後に続く。
「がはは、俺も一緒に行くぜ」
新免無二も元倭寇達の後をついて行った。
「何をするか知らんが援護してやるぞ」
津田監物が合図すると鉄砲隊が構えた。
城壁には穴が空いていて、その穴から元倭寇達に向かって矢が飛んで行く。
鐘捲自斎は抜刀し飛んで来る矢を斬り払った。元倭寇達も平然と柳葉刀で矢を叩き払っていく。
「穴から矢を放つから、鉄砲で援護できなかったんです。鉄砲対策もバッチリしやがって手強い奴らですよ」
木下藤吉郎が津田監物に説明する。
「ふ~ん。訓練が不足してるな。………撃て!!」
津田監物が叫ぶと、轟音と共に鉄砲隊の銃撃が始まった。
根来衆の狙撃の腕は鉄砲の性能もあってこの世界で最高水準だ。矢を放つ小さな穴に、的確に銃弾が命中する。
城壁の中から悲鳴があがり鵜沼城の弓兵が次々と撃たれていった。
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