第197話 十四条軽海の戦い2

斎藤軍の大将の一人日根野弘就ひろなり・カーペットバイパーの獣人。


斎藤義龍の重臣「斎藤六人衆」の一人。斎藤道三が主君である土岐頼芸と争った時は、道三につき土岐頼芸を襲い追放し、斎藤義龍が道三と争った時は義龍につき、道三の息子達を殺した。


そしてカーペットバイパーは毒ヘビだ。危険が迫ると鱗を擦り合わせ警告音を発する。その音がノコギリを引く音に聞こえるので、日本ではノコギリヘビと呼ばれ、インドでは「四大毒ヘビ」の一種として恐れられている。


もう一人の大将である長井道利・ラッセルクサリヘビの獣人。


斎藤義龍の重臣「斎藤六人衆」の一人。斎藤義龍と斎藤道三が争うと義龍につき、道三の息子である義龍の弟達の殺害を進言。義龍が道三に味方した明智光安を倒すとその領地の代官になった。


ラッセルクサリヘビも毒ヘビだ。その猛毒は噛まれると致命傷となり、神経毒で激しい痛みからもがき苦しみ、同時に出血毒で血液の凝固作用を阻害し血管を破壊する。インドでは「四大毒ヘビ」の一種として恐れられている。


そしてもう一人、斎藤家の猛将である真木村牛介・牛の獣人が参戦していた。真木村牛介は2mを超す巨大で体躯で怪力を誇り、2本の鋭い角を使った体当りを得意とする。


「道利、どう思う。森部で信長を襲った長井衛安の兵が戻って来ねえ。皆殺しになったのか? それとも裏切ったのか?」

日根野弘就が長井道利に問う。


「裏切ったんだろうな。6千人の兵を皆殺しなんてあり得ねえ」


「長井衛安や日比野清実が裏切るとは思えねえがなぁ」


「ふん、何れにしろ行けば分かる」


「忍びを放っても全く情報が入って来ねえ、領民からの目撃情報だけだ。この短期間で墨俣と十九条に城を造ったなんて、有りもしねえ法螺話まで出てくる始末だ」


「なぁ弘就、ここで信長を倒さなきゃ、俺達は終わりだ。何が待ってるか知らねえが、いざとなりゃ時間を掛けてじっくりやれば勝てるんだよ」


「道利、なんだ援軍を期待してんのか? 文を送っても動かねえ、西美濃3人衆の腰抜けジジイどもを当てにしても仕方ねえぜ」


「くくく、義龍はもう終わりだ。あの病気の身体じゃ、もう長くはねえだろう。息子の龍興も間抜け野郎だ。そして西美濃のジジイどもには用はねえ」


「何を言ってやがる。どういうつもりだ」


「弘就、俺と一緒に来い。この文を見てみろよ」

長井道利が日根野弘就に文を渡す。


「え! こ、これは! 本当の話か?」


「そうさ、勝てば良いが負けそうになっても10日持たせれば………」


「た、武田信玄が来るのか!!!」


「くくく」

長井道利が含み笑いをして、日根野弘就の持つ文を受け取る。


「お前、武田信玄と繋がってたのか」


「人聞きの悪い事言うなよ。保険だ。ここで俺達が勝てば良いが、負けたら終わりだぞ。負けた時の保険が必要だ。弘就と同じ様に俺も不安でなぁ。義龍の援軍を期待出来ない現状で、最大の切り札を用意したのさ」


「成る程、その時は斎藤家も見限るって訳かぁ。………良いねえ、良い考えだ。どうせ俺達は裏切る人生さ。最後にでっかい裏切りをやってやろうぜ」


「よし、ゆっくりゆっくりと戦って信長をあっと驚かせてやろうぜ」

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