第196話 十四条軽海の戦い1
新しい朝が来た希望の朝だ。喜びに胸を開け、青空仰げ。今日は快晴で清々しい朝だ。
「今日も一日がんばるぞい!」
とテントを出て気持ちを上げようとしてみたが、………あぁ、太陽が黄色い。
今日の指揮は無理だな。三好政長に任せよう、っと………。
「ええ朝やなぁ」
後ろからスッキリした顔の鶴姫がテントから出て来た。
「そ、そうだね」
背中を丸めげっそりとした顔で答える俺。
鶴姫はタフだなぁ。
「あら、ごめんなあ。やり過ぎたみたいで。えへ」
首を傾げて誤魔化し笑いの鶴姫。
えへってなんだよ!
………まぁ、可愛いけどね。
「ちょとぉ! ツルちゃん、翌日の
帰蝶が元気良く走って来て、げっそりしてる俺を見て鶴姫に抗議する。
「サービスサービスやわあ、なあ」
おれの肩を抱いて頬にキスする鶴姫。
「もう、夜伽が終わったんだから、いつまでもくっついてないのぉ!」
帰蝶が鶴姫から俺を引き離し、抱き締めてヨシヨシする。
「な、………何回やったんだよお!」
帰蝶の後ろから駆けて来ていたゆずが鶴姫に叫ぶ。
「しー、みんなに聞こえるよ」
小声でゆずに注意する俺。
「あ」
やっちゃったぁって顔で口を両手で押さえるゆず。
みんなも起きて来た様で、小姓達が駆け寄って来てるし………。
「アネサン、精ガ出マスネー」
「アネサン、ヤルー」
「ヒューヒュー」
いつの間にか元倭寇の許兄弟が横にいた。
「照れるで」
頭を掻く鶴姫。
意味が違うんじゃねえか?
俺達がそんな事をしてる間に軍師達もそれぞれのテントを片付けて歩いて来た。三好政長も一緒だ。
「政長、今日俺は調子が悪いので任せるわ」
「承知しました!」
とみんなに聞こえる様に返事した後。
「ほどほどにしなさいよ」
と小声で俺に注意する政長。
横で池田恒興がジト目で見ていた。
バレバレだよぉ。ああ恥ずかしい。
そんなこんなで、朝の支度やら色々やってたら、木下藤吉郎達が追い付いて来た。
お前ら夜通し歩いて来たのかよぉ!
その後、十九条城跡地にも簡易版の城が造られていく。
三好政長の指導で兵達は、行動の合図の確認や戦闘訓練と連携の訓練を実施していた。
その晩の伽番はゆずだ。
「何回やったんだよ!」
って聞いてたけど、分かんねえよぉ。
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ぐっすり眠った翌日。
「稲原山城から斎藤軍が出撃して来たのじゃ」
饗談が報告しに現れた。
「やっと来たか」
「大将は本田城主・日根野弘就と関城主・長井道利。数は2万じゃ」
「斎藤義龍は来ねえのか?」
「義龍は病気だからなぁ。悪化してるのかも知れねえなぁ」
斎藤道三が眉を顰める。
「病気?」
「業病だ。鼻が崩れて顔が変形しちまった。もう長くはねえだろう」
「アタイが美濃にいた頃は普通だったけどなぁ。悪魔に取り憑かれたのかなぁ」
帰蝶も眉を顰めた。
「いや、悪魔の事は知らねえが、顔が変形しても初めは普通だったぜ」
ハンセン病かな? 戦国時代では大谷義継が有名だったけどなぁ。
「じゃあ、どうして!」
「いつ死ぬか分からねえヤツに、俺の跡を継がせられねえと、弟、………または帰蝶の夫である信長に跡を継がせる話をしだした頃からおかしくなっていきやがった」
その頃に悪魔に魅入られたか。
今はそんな事を考えてる暇はねえな。
「俺達も出撃準備だ!」
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