第189話 森部の戦い1
漸く西美濃の攻略に乗り出せる準備が出来たので、俺は清洲城から2000人の兵士を連れて西美濃に向けて出陣した。
俺の出陣に合わせて、西美濃攻略の為に城代となった山崎城代・佐々政次、野府城代・平手政秀、勝幡城代・前田利久がそれぞれ1000人の兵を連れて追い掛けてくる。
そして、西美濃に近い片原一色城の橋本一巴も、鉄砲を担いだ300人の兵士を連れて出陣してきた。
「おいおい、出陣するなら俺にも事前に声を掛けてくれても良いじゃねえか、お陰で300しか連れてこれなかったぞ」
って橋本一巴に文句を言われたが、元々出陣して貰うつもりはなかったんだよねぇ。
今回は松平元康と木下藤吉郎、竹中重元の経験も兼ねた出陣なんだから。
山崎城に集合した俺達は、俺の清洲城の戦力2000人と橋本一巴の300人を加えた2300人だけで木曽川を越えて西美濃に入った。
進軍中に木下藤吉郎から橋本一巴に今回の作戦内容を説明させた。
すると美濃の八神城から毛利氏が100人の兵を連れて待っていた。
「信長様の旗が見えたので、急ぎ駆け付けました」
美濃国八神城の毛利某は織田家の家臣だ。
「お、おう、ご苦労。取り敢えず一緒に来てくれ」
もう、こっちには都合ってもんが有るんだよ。真面目過ぎるだろう。
さて、少し北上すると、加賀野井城が見えてきた。
城門が見えるところまで進むと、白旗が上がっていて城門前に100人程の兵が並んでいた。
「加賀井重宗と申します。降参致します。手勢を率いて参戦しますので、何卒この地は安堵いただきたくお願い致します」
「お、おう。降服を受け入れよう。付いてこい」
また、増えちゃったよぉ。
その後、北西に進路を変えて進み竹ヶ鼻城に来ると城主の不破広綱以下100人が合流する。
この辺りは、尾張と美濃の境界が曖昧で織田家傘下の城主もいるのだ。
毛利某、加賀井重宗、不破広綱にも木下藤吉郎が説明していた。
更に北西に進み長良川にでた。長良川の向こう岸には森部城がある。
長良川を越えると、森部城では城主の河村久五郎が100人の手勢を連れて出迎える。
森部城主・河村久五郎も織田家の家臣だ。
「お待ちしておりました。美濃勢も墨俣を越えて進軍して来ております」
「おう、ご苦労。美濃勢の事は承知している。ここで待機していてくれ、面白いものを見せてやる」
「承知しました」
下記城主達の兵は森部城で待機させた。
片原一色城主・橋本一巴 300人
八神城主・毛利某 100人
加賀野井城主・加賀井重宗 100人
竹ヶ鼻城主・不破広綱 100人
森部城主・河村久五郎 100人
俺の2000人の兵のうち1000人を木下藤吉郎と池田恒興に預けて先行させた。
先行させた軍が森部城から北上すると、斎藤義龍の兵6000が鶴翼の陣を敷いていた。
斎藤軍と対峙して止まらず、木下藤吉郎はそのまま突撃した。
稲葉城から駆け付けた斎藤軍の大将は長井
そしてもう一人「斎藤六人衆」の日比野清実、アオダイショウの獣人も参戦していた。
日比野清実の家臣には、素手で首を引き千切る「首取り足立」の異名を持つ怪力無双のカバの獣人、足立六兵衛がいた。
「ククク、織田信長の軍は猪か。前に突っ込むしか能がない様だ」
長井衛安はニヤリと笑った。
織田軍は斎藤軍の鶴翼の陣の中央に突撃した。鶴翼の陣の対応策の一つである中央突破だ。
「馬鹿の一つ覚えの様に、敵はみんな中央突破をしようとする。だがそれは対策済みなのだよ。………撃てえええええ!」
長井衛安の号令で中央の左右から鉄砲が撃たれた。
轟音が鳴り響く。
織田軍の先頭の部隊はそれでも止まらず前に突き進む。
「ほほう、鉄砲に恐れず前に進むとは、敵ながら天晴れ! しかし中央には『首取り足立』が待ってるぞ」
「ウオオオオオオオオオオオ!!!」
巨大な斧を持った2mを越える大柄なカバの獣人、足立六兵衛の咆哮が戦場に響き渡った。
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