第179話 VS岩倉織田家2
「開門しろぉ! 死にたくなければ清洲城を明け渡せ」
岩倉織田家の家老である山内盛豊が清洲城城門前で叫ぶ。山内盛豊の後ろには1000人の兵が集結していた。
「がはは、生意気言ってるな。もう出ていって撫で斬りにしようぜ」
新免無二は戦いたくてうずうずしている。
「まあまあ、もう少し待ちましょう」
木下藤吉郎が無二を宥めた後、城門の上に登り、隠れて山内盛豊を見る。
「織田信賢は来ていないでござる」
石川五右衛門が現れて藤吉郎に報告する。
「そうですか。五右衛門殿、報告有難う御座います。鉄砲隊の皆さん、パターンBです。山内盛豊は捕縛しましょう」
隠れてる鉄砲隊にそう言うと、山内盛豊の前に姿を表した藤吉郎。
「俺は木下藤吉郎だ。信長様より清洲城の防衛を任された者だ」
「あっはっは、とんだ田舎者が出てきたなぁ。田舎侍は畑でも耕してれば良い。直ぐに城門を開けて斯波義銀様をお連れしろ」
「断る。それより、そんな近くに兵を集めて死にたいのか?」
「はぁ、何を言ってる。死にたいのはお主の方だ。俺にそんな──」
山内盛豊が話している途中で藤吉郎が合図すると、城壁の上に300人の鉄砲隊が現れて織田信賢の兵に鉄砲を撃った。
「鉄砲の射程にはいないはずだよな。ま、まさか………」
轟音と黒煙に驚愕した山内盛豊は恐る恐る後ろを見た。
数百人と思われる死体が見えた。
「そんなぁ! 馬鹿なぁ!」
山内盛豊は後方に慌てて叫ぶ。
「下がれぇええええ! 信長の鉄砲の射程に入るなぁあああああああ」
しかし、再度鉄砲を撃たれて、前を見ながら後退りする織田信賢軍の兵士が倒れていく。
「くっ、畜生!」
山内盛豊が後ろに走ろうとした、その時。
地面の下から
一瞬の出来事に後方で後退りしていた兵士は、鉄砲に気を取られて良く見えておらず山内盛豊が消えた様に見えていた。
「おい、後は思う存分やっても良いんだろう」
「がはは、腕が鳴るぜ」
「俺も行くっす」
杉谷善住坊、新免無二、池田恒興が戦いたがっていた。
「ちょっと待って!」
藤吉郎の言葉に動きを止めて怪訝な表情を浮かべる3人。
「何かあるっすか?」
池田恒興が藤吉郎に尋ねる。
その時、岩倉織田軍の陣営から飛び立つ影が3つ。織田家の守護獣グリフォンだ。
「鉄砲隊構えて!」
藤吉郎声に根来衆300人の鉄砲隊と杉谷善住坊がグリフォンに照準を合わせる。
グリフォンは鉄砲の対応を訓練していたのか、上下左右ジグザグに飛びながら迫って来た。
「撃て!」
藤吉郎の合図で302の鉄砲が火を吹いた。
300の根来衆と津田監物と杉谷善住坊だ。
ジグザグに飛んでいたグリフォンだが、撃ったのは300の鉄砲だ。十数発は命中し血を流していた。
しかし急所を運良く避けられたのか、血を流しながらも狂気の表情で清洲城の城壁の上の鉄砲隊目掛けて飛んでくる。
城壁の上には鉄砲隊の他に飛行能力のある蟲王達が待ち構えていた。
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